何気なく読み始めたら、ぞわぞわこわくて、とてもよかったです。日常の何気ない一コマの中に潜む、恐ろしさ。「あるかもしれない」うすら怖さ。そう。これはもしかしたら、すぐそこに、自分のそばにありそうなこと。ほら、後ろに、もしかしたら……
ホラーというものは、私達の未知や曖昧の隙をつき、今も隣で立ち尽くしているのかもしれません。毎日当たり前に見ている風景の隅っこ、普段は覗かない死角、誰にも言えない秘密や趣味趣向。思いがけないことに出会った時の複雑な感情の波。人心の暗がりには底知れない豊かなファンタジーが広がっているものなのだなと思いました。もしかしたら私が何気なく見聞きして思案していることも、他人から見たら理解不能で怖いものと思われているかもしれませんね。この作品には日常と隣り合わせの不思議な出来事がたくさん詰まっています。ぜひご堪能ください。
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