恋する乙女は綺麗。

皆さんには、恋に落ちた経験はありますか?
恐らく、多くの方にありますよね。
恋心とまではいかなくても、憧れの人がいたりとか……。

一人の青年に買われ、彼の部屋で過ごすことになった観葉植物。その植物に生えている、一枚の葉っぱの恋心を描いた作品です。

人間にも、登校途中に憧れの人を見つけて心が踊るとか、廊下でたまたま話し掛けられてドキドキするとか、そういうことがあると思うのです。
そうした恋心のときめきが、葉っぱの視点から描かれています。

思慮深く優しい人を好きになってしまうのは、人間も葉っぱも同じのようですね。
葉っぱ(観葉植物)が元気でいられるようにお世話をする彼の姿は、葉っぱでなくとも、慕いたくなってしまいます。

みなさんがかつて抱いた恋心や憧れの中にも、叶わなかったもの、届かなかったものがあると思うのです。
こうして文芸作品を通して恋心を見つめると、朝日の光のように、あるいはそれに打たれた透明な水のように、美しいものだなと感じます。
蓋をしてしまったはずの過去の出来事まで、何故か懐かしく思い返されてきます。

私はこの一枚の葉っぱを愛しいと感じました。
愛しさの芽生える作品をお読みすることができて、とても嬉しいです。
皆さんも、この葉っぱの恋心に触れてみませんか?
心が透き通っていくと思います。