ちいさいこ、あなたはなにをおもっているの。

実際、小さい子というものは何を考えているのでしょう。

レビュー筆者にも幼少期というものはあり、この作品をお読みする中で、(私は保育園に通っていましたが)先生が作ってくれた誕生日カードが何より嬉しかったこと、工作が苦手でいつも困ったこと、ガキ大将みたいな男の子が怖かったこと等々、色々なことを思い出しましたが、例えば、言葉が話せるようになる前の乳児期の子が、意味ありげに空中を一心に眺めている姿を見かけると、『この子は今何を見て何を考えているんだろう。ちょっと訊いてみたいな』と思うのです。当然、訊ねても何も返事はありませんし、私もさすがに乳児期の記憶はなく、何を見て何を考えていたのかは分からないままです。

歳を重ねる度に『成長』というものを私達は意識しますが、社会性が身に付くに連れ、神秘的な本能はぽろぽろと取りこぼしていくのが常のようです。
もったいないことのようにも思いますが、生まれたての神秘性は今後もそのまま、小さい子たちの特権であり続けることでしょう。

人生初の社会生活の場である幼稚園で、女の子との関わりを通して様々な体験をしていく主人公の日常を垣間見ながら、私も幼い子の心の動きに思いを馳せました。

全編ひらがなで書かれた文章は初見の方には驚かれることと思いますが、小さい子の心の動きを存分に感じていただければと思います。

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