本作のキャッチコピー
『窓ガラス君の虚像がきらめいて景色に上書き保存されてく』
に惹かれて読ませていただきました。

大切な人に対してなかなか素直になれなくて言葉にできなかった――そんな、もどかしいような甘酸っぱいような、あるいは苦いような思いが、短歌に織り込まれているように感じました。

短歌の背後には色々な物語が隠れているのですね。

人を思う繊細な気持ちを感じる作品でした。

『一首／一句部門の応募方法・・・・・・エピソードタイトルに、応募したい短歌／俳句を記入してください。投稿作品の本文には、自由に作品のイメージ等について記載することが可能ですが、その内容については、選考対象外となります。（あくまでも、短歌／俳句、単体での評価となります）』

　……マジか。
　この短歌、いや、小説？　を読んでからこれを見ると、やっぱり思ってしまいましたね。
　いや、分かるんですよ。
　確かに、これはその短歌とか俳句単体で、読者に様々なメッセージを伝え、印象を残すものなので、まあそういうルールはそうだろうな、って思うんですよ。

　――でもさ。
　この小説を見ると、やっぱり思えてくるんですよね。
　まさに、解凍されてる。短歌を、解凍してるんですよ。その詩にあるエピソードをね。
　やっぱり、短編小説の神・御角は並大抵じゃないんだなぁ……。

タイトルの短歌を、本文で解凍する。

そんな公開の仕方もすごく素敵だし、そしてその文章の美しさ！
ヤバい！　好き過ぎる！　語彙力が無くなるくらい！

なので、レビューをするのをためらってしまうほどでした。

「いや、レビューにもなってないよ、この文章！」
って思われるかもしれませんが、本当に言葉を失うほどに、描写が好きなんです。

この作品を読むと、脳内に物語の光景が鮮明過ぎる程に再現されるんです。
もちろん、読まれる方によってその光景は大なり小なり違いはあるのかもしれません。

でも、何というか、「その場所に行ける」みたいな感覚や、「読んでいて楽しい！」「追体験ができる！」みたいな感覚は、読まれる方の多くが同じように感じられることだと思います。

あなたもその感覚を、一緒に味わってみませんか！？

短歌にショートストーリがつけられた
異なる側面から楽しむことの出来る作品です。

例えるなら
三十一文字で描かれた絵画に
短い物語というステンドグラスが重ねられて
絵画は全く異なる輝きに包まれているような。

そうして出来上がった一枚の芸術から
もう一度三十一文字の絵画を取り出すと
そこには光の芸術が残されたままの
違った絵画が浮かび上がってくるような。

重ねるたびに異なる世界が現れる
そんな素敵な作品です

短歌を詠んで、
さらにその短歌をショートストーリーにしています。
その発想も素敵だし、ショートストーリーがまたとてもいいのです。
久しぶりに御角さんのお話を読めて嬉しく思いました。
御角さんのお話は情景が目前に浮かび、
そしてこころに何か残るような物語です。
続きを心待ちにしています。

　情緒溢れる短歌の解凍小説。
　電車に揺られる中、ふと触れたくなるような読み心地。