情感豊かなふうせんの旅。

この作品を読んでいると、幼心に訴えかけるような、柔らかなタッチの絵が思い浮かんできます。
膝の上に絵本を広げてわくわくと読んでいる気分になります。

私達の頭上に広がっている空には、今も、ふうせんたろう君や天体、鳥達などが織り成す、情感豊かな世界が広がっているのかもしれません。

地面に生きることを選び、都市を発展させてきた人間の世界は、ふうせんたろう君にとって、寂しさと無情さをまざまざと思い知る場所であったことと思います。
そんな冷たい都市の中にも、一輪の花のように人の優しさが咲くことを期待せずにはいられないラストでした。

ふうせんたろう君の願いを叶えるために、鳥達が次から次へとオモリを付けていってあげるシーンが特に印象的でした。

素敵な作品でした。

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ふうせんたろう

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