この泣きたくなるほどの繊細で美しい作品に対してどんな称賛の言葉を捧げたらいいか……語彙の少ない私には上手く表現できないのですけれど、全編に渡って仔細に描かれる海向君の心情描写をじっくりと読ませていただきました。
高校生から大学生にかけての時期といえば、大人としての自立を求められ、将来のことも考えなければならない時期だと思います。
今までは子供だから許されてきたこと。
今まではこうだったのだからこれからもこのままでいいのではないかと思うこと。
それらのことが許されなくなってくる、もどかしい時期でもありますね。
海向君のように自分のいたい場所と他人から求められる居場所が違うと、強烈な違和感を覚えることと思います。
『みんなの言うことはよく分かる。でも、自分には自分の居場所がちゃんとあるんだよ』
そんな気持ちが溢れているように思いました。
まるでその場にいるような臨場感溢れる海の情景描写も本作の魅力です。
海向君とあさぎちゃんの深い絆に思いを寄せながら、時間を掛けてゆっくり読んでいただきたい作品です。