概要
統合総軍による駆除・防疫活動が展開される中、民間軍事会社G.G.ストライク社に属する戦術機動機甲(T.M.A)“繭(コクーン)”の女性オペレーター カルハ・セランは、同じ機体でバディを組む美しく優秀な年上部下セン・アスカシアルに対して、敬愛の念と、ひとつの疑念を抱いていた。
軍により運用を禁じられたはずの忌まわしい機体に執着する彼女を、
わたしは撃つべきなのか、それとも見守るべきなのか――。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!いつまでも色褪せない素敵な作品。読んでよかったです。
巨大スクリーンと極上のスピーカーで映画を観ているような大迫力の戦闘シーン、“繭“を巡る情勢とセンさんの思い、最終盤で明かされる数々の謎とお互いの気持ち。
全てが重厚で圧倒的で感動的で、読めば読むほど嵌っていきます。
この作品の根幹を成すSFならではの設定も興味深く、戦闘の経緯だけでなく、勝ち方や負け方まで、まるで咲き誇る花や散りゆく花のように、美しいとまで感じます。
カルハさんとセンさんの会話も魅力の一つ。
ぶつかり合う思惑と本音を思う存分楽しんでいただきたいです。
今までお読みしなかったのが、もったいないくらいでした。
良作に時効なしとは私の持論ですが、この作品もいつまでも読む人の心を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その機体は紛れもなく繭であった
繭。それは幼体と成体の境界に揺蕩う存在だ。意思をもたず、動くこともできない。それはつまり生と死の境界にあるということで、その悲劇性は考えるまでもない。"手も足も出ないまま"嬲り殺しに遭うという宿命がある。そう、人は繭を糸だと思っている。繭は養蚕の最終工程であり、蚕の棺桶であると勘違いしている。
しかし実際は違う、そう本作は主張する。繭とは羽ばたく為の準備段階だ。地を這うしかない幼虫が空を駆けるための、ちょっとした試練。繭が破れたあとには無限の未来と希望が飛び出してくる。繭とは生のメタファーである。
人類が<クラウド>と呼称される異形生命体にその生存圏を奪われ続ける終末世界。<クラウド>に対…続きを読む - ★★★ Excellent!!!極限の世界で生きる女兵士達の物語。
人に憑りつき害を成す極小の微生物・クラウドと、その厄災から逃れるべく懸命に抵抗を続ける人類との、先の見えぬ戦いが行われている世界。
戦術機動機甲「コクーン」のオペレーターである主人公・カルハと、そのパイロットである相棒のセンが、共に任務を遂行する中で、ある疑惑に巻き込まれ、さらに危険な任務へと赴く事になる――というお話です。
正体不明の敵と戦う中で消耗した人類が、既に先の見えぬ状況に陥っている事を自覚しているカルハは、己の存在や行動に意味を見出せず苦しんでいるのですが、実際のところ、その悩みは人間として普遍的なモノではないかと感じられ、この極限の世界にあっても、カルハへの感情移入は容易であ…続きを読む