子供の頃、当たり前のように毎日を過ごした故郷というのは、大人になってからも、自分の帰る場所として、特別な引力を持っている場所だと思います。
大人になって、そこそこ色んな経験をして、ふと過去を振り返った時、色んな後悔の念が湧くこともありますよね。
あ、自分ってこんなに弱かったんだ。
こんなに駄目な部分があったんだ。
そんな後ろめたいループに陥るようなこともありますよね。
子供時代にお世話になった故郷の大人の存在は、ミドル世代にとって、かけがえのない子供時代を共有し、安心して甘えられる大きなゆりかごでもあると思います。
自分を包み込んで受け入れてくれる故郷。
そして、そこで待っていた懐かしい人。
ああ、私の居場所はまだそこにあったのだ。
たとえ幻でも、そう感じる瞬間があったのは、加齢と共に失うものの多くなっていく壮年期の人の心を大きく支えてくれる体験でもあると思います。
まどろっこしいレビューになりましたが、とても感動しました。
懐かしいという感情は、人の心を揺り動かす切ない力を持っているものなのですね。