概要
置き去りにしてしまった願いをもう一度
出会いは偶然や奇跡で語られ、別れは必然のように語られる……。そうなのだとしたら人はなぜ、誰かと出会うのだろう。過ぎ去った時間に手をのばそうとしても決して届かない。不可能性の最も純粋な形。
――過去はペンローズの三角形だ。
忘却とは、記憶されていたものが無となることではない。果てしない沼の底に埋めたはずの記憶の破片は、再び浮かび上がってくる可能性を秘めている。忘却とは記憶の無を願うことにすぎない。そして、そんな願いは往々にして星に届かない。
僕は空に舞う、迷える星を、もう一度、君と眺めたいと思った。
――過去はペンローズの三角形だ。
忘却とは、記憶されていたものが無となることではない。果てしない沼の底に埋めたはずの記憶の破片は、再び浮かび上がってくる可能性を秘めている。忘却とは記憶の無を願うことにすぎない。そして、そんな願いは往々にして星に届かない。
僕は空に舞う、迷える星を、もう一度、君と眺めたいと思った。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!研ぎ澄まされた文章が、世界観を描ききる。
最初から最後まで、空気感がとても良く、文章力に圧倒されながら拝読した作品。
宇宙論的な話題を持って来ると、分かりにくかったり、知識が追い付かなかったり、作品がまさに空中分解してしまうことが多々ある。しかしこの作品は、その宇宙論的で哲学的な会話を、巧く文章に溶かしている。そして研ぎ澄まされた文章には蛇足的な部分が一切なく、主人公と女性の関係性や置かれている立場、何気ない会話が独特の雰囲気の中に成立している。
言葉の隅々が整っていて、主人公の考察的な部分は知的であるが、聞いていて嫌味はなく、むしろ心地よい。大げさでない風景描写と、主人公と女性との関係性もまた、引き込まれる要素となっている。…続きを読む