『命の天秤』の心理学シリーズの続編として、高村香澄を中心に新たな登場人物エリノア・ベルテーヌや心理学サークルのメンバーが加わり、ワシントン大学を舞台に事件の予兆を思わせるミステリー要素も含めた雰囲気の中、物語が展開していきます。プロファイリング的手法を描きつつ、事件が深刻にならないようにする配慮や事件当時者への精神的配慮についても臨床心理士としての心理学的解決法を示していると思いました。サンファン諸島での旅行のシーンでは観光名所、ライム・キルン・ポイント州立公園でのオルカ(シャチ)ウオッチやぺリンダバ ラベンダー農場で寛ぐシーンを爽やかに描き上げ、香澄たちの活発で若々しい魅力も伝わるヒューマンドラマです。
まさに「ヒューマンドラマ」です。
作者さまの「命の天秤」の続編ですが、今作品は「盗難未遂と、いじめ事件の犯人探し」という、ミステリー要素が入っています。
ただし、主人公は探偵ではなく、心理学を専攻していた女性です。
そのためか、こちらのテクニックを使った会話や接触など、頭を使って、問題を解決に導こうとしています。
単純な「犯人を見つけて……」だけでなく、事件の拡大を防ぐにはどうしたらいいか、防止のためには何をすればいいのか。
そんな「未然の解決」案も出されるのが見所です。
また、事件一辺倒ではなく、オルカウォッチングをしたり、絶景を楽しんだり、そんな「ほっ」とできるシーンも含まれています。