概要
やまと言葉、漢語、外来語、古語と古訓、造語と宛字、雅言と俚言、そして修辞……「言葉の楽園」「語彙の型録」を標榜し、物語るよりも言葉そのものを書くことに偏執する一話完結の言語的構築物です。
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「楽園とは、文学においては、言葉の楽園です。言葉が天の王権を保ち、言葉があまねく恵みを垂れ、言葉以外の何ものもそこでは力を持たず、又、言葉以外の何ものによっても代置されない楽園です」
【三島由紀夫「あなたの楽園、あなたの銀の匙 森茉莉様」(中央公論新社編『彼女たちの三島由紀夫 : 中央公論特別編集』114頁、中央公論新社、2020.10所収)、初出は「華麗なる往復書簡」(『婦人公論』、1967.3)】
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!『語彙世界』は言葉の自家製型録。決して色褪せることのない価値の辞書。
学校で習うことのない常用外漢字。
造形が美しい画数の多い文字。
古文の中に匿われる言葉。
実用性より装飾性が心地好いこともあるのですね。
文學の「物語性」を超えた「文字そのものの可能性」に気付きます。
眺めて学んで堪能したい御方へ、お薦めの型録です。
辞書を読んでいるかのような感覚でありながら、浮かび上がる光景があり、それらは一話ずつ独立しています。
漢詩の趣きの彫像。異国の単語を鏤められた絵巻物。特定されない舞台に射す光と影の風景画。
そのように感じられる文章の行間には、自分の解釈で埋めることの可能な「余白」があります。奥床しい風情を感じる次第です。
質と品の良い綺麗な言葉の自家製…続きを読む - ★★★ Excellent!!!百度のエクリチュール~作家個人は文軆を持ち得るか
レーモン・クノーは『文体練習』において、ひとつの物語を、九十九種類の文軆でえがきわけた。「メモ」から「荘重体」まで網羅した、文軆の熱力学的死ともいえる異様な挑戦から、ロラン・バルトは『作家個人は文軆をもたない』という着想をえた。作家はだれでも、どんな文軆でもえがきうる、という虚無主義だ。なかんずく、文軆意識を極限までひくめた、文軆をもたない文軆を零度のエクリチュールとよんだわけだが、零度のエクリチュールとは元来、『文体練習』のように『作家個人は文軆をもたない』という視座から発想されたものだった。
翩翻として、工藤氏は『ひとつのエクリチュールで多様な物語をえがく』という実験に挑戦している…続きを読む - ★★ Very Good!!なるほど、高難度な言葉遊びですね
『のちゆく』を勝手に考察
沓冠(くつかむり)の語釈がちっともわからなかったので調べてみました
折句という表現方法は、「句の上の一文字をつなげると言葉が出てくるよ」という仕組みらしいです
沓は「はきもの」冠は「かぶりもの」。つまり沓冠は、歌の頭とおしりの文字を繋げて別の言葉をみつけるのですね
「きそ の ゆめ」の歌なんですが
頭文字を上から下の順番で読み、
一番下の文字を下から上に読むと、
「君見たし…」の歌ができあがります
「なんでこの詩、参考の後ろに、ちょこんとあるんだろう」と不思議だったのですが、ちゃんと意味はありました。自分はバカなので調べないと意味が分か…続きを読む