概要
稀代の画家クロード・モネと、稀代の蒐集家松方幸次郎の出会い、そして――
第一次世界大戦下のパリ。松方幸次郎は、西洋美術を日本の美術を志す者たちに見せたいという夢をかなえるため、パリ郊外ジヴェルニーのクロード・モネのアトリエを訪ねた。幸次郎は、モネから自分用の画(え)を譲ってもらう交換条件として、若き日のモネが何故ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」に感銘を受けたのか考えて欲しいと言われる。モネのアトリエの建築にたずさわるシャルルの意見を聞きつつ、幸次郎は答えを導き出す。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!あなたの心を動かしたものは何ですか? それを説明できますか?
モネの作品を求めてフランスの片田舎へやってきた松方幸次郎。果たして遭遇した稀代の画家と、語り合うのは「自分を感動させた作品」、そして「その感動の理由」。
美しいもの、優れたもの、それを見た瞬間、自分の生きる意味を教わった気がする。
そんな経験、僕もあります。僕の場合それは星新一のショートショートでしたし、ある時区民文化センターで見た一枚の絵画でしたし、先輩と一緒に描きあげた一枚の絵、その制作工程だったりします。
美しいもの、優れたものを見た時の感動。
モネは松方に、これを言葉にして説明するよう求めます。それに対する松方の答えは……作品を読んでのお楽しみ。
芸術に志のある人間、芸術に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この短編読んだ野郎共! 行くぞ上野、国立西洋美術館!
いきなり読者を野郎呼ばわりして失礼しました。ですが今、この短編を読み終えた直後の興奮状態でレビューを書いているので過ぎた表現はご容赦願います。
上野の国立西洋美術館には、「松方コレクション」なる美術収集品の一群が収蔵されています。というかこのコレクションを保存公開するためにこの美術館が建てられました。にもかかわらず、これまで私はさほど「松方」の部分に注意を払わずに展示を見てました。ですがこの短編を読み、矢も楯もたまらず上野に行って西洋美術館詣でをしたくなりました。
話の中核は、「松方コレクション」を作り上げた実業家の松方幸次郎と、説明不要の印象派の画家・モネとの交流です。生まれも育ちも…続きを読む