概要
あなたの求める響きがここに
大学を卒業したばかりの矢木さやかは、就職が決まらずやきもきしていた。ある日、落ちた筈のイベント会社から連絡があり、とあるミッションを成し遂げれば特別待遇で採用すると告げられた。そのミッションとは、……イベントに招いたドイツ人ピアニスト、クリス・ザイファートがヘソを曲げて国に帰ると言い出したので、説得してイベントを遂行させることだった。必死でさやかは説得するが、ザイファートは〝エヒトクラング(本物の音)〟を見つけてくること、それが条件だと言う。さやかはその〝エヒトクラング〟を探して奔走するのだが……
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- ★★★ Excellent!!!「本物の音」への飽くなき追求
堂島エージェンシーに勤める矢木さやかは、諸外国から著名なピアニストを招き、コンサートを計画するものの、彼らには様々な生い立ちや辛い過去があり、そして音への強いこだわりを抱え、時には無理難題をさやかに押し付けてきます。さやかは諦めることなく人脈を辿り、東奔西走を続けますが、ピアニストたちが求めている音を出すためには、「エヒトクラング」と呼ばれる調律師の協力が必要になります。エヒトクラングこと蔵野江仁は終始さやかには冷たく、突き放したような態度をとっていますが、そこには彼なりの音楽への強い想い、そして音楽に関わる者への愛情が感じられました。
作者のピアノに関する膨大かつ深い知識、そして人間の心…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ピアノは調律によって本物の音を奏でる
〝エヒトクラング〟はドイツ語で、本物の音という意味です。
ピアノの調律にまつわるお話です。章ごとに違うエピソードの連作になっています。
調律によって、ここまでピアノが変わるのだということが分かります。
蔵野。カリスマ調律師。変人気質なところが面白いです。
さやか、若くて無駄に元気のいい女の人。
などなど、キャラがいいです。
ピアノ好き、必見です。音の出ない小説での音楽表現、うまいです。
話の区切りが鍵盤なのも面白いです。
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クラシック知識。ピアノ以外の雑学もちらほら入ってて勉強になります。
文章うまいです。
海外事情も詳しいです。リアリティー…続きを読む