生きて、残る

作者 鈴ノ木 鈴ノ子

65

22人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

戦争は人の、意志も心情も希望も感情も、蔑ろにする。
送るべきだったささやかな日常も、そこに寄り添うべき想う人も、何もかも。

仮にその混沌の中で、一縷の望みを得られたのなら、その人は、得られなかった大多数の人たちの代わりに、果たさなければならない使命がある。

それが、生きて、残る、ということ。

「私」に課せられた最後の命令。その真意。
それは小隊の仲間の家族に顛末を伝えることでも、写真を手渡すことでもない。
生きて、残る、ということ。

この「残る」ことの意義を、観照されられる作品。