「生き残る」では足りない、生きて「残る」ことの意義

戦争は人の、意志も心情も希望も感情も、蔑ろにする。
送るべきだったささやかな日常も、そこに寄り添うべき想う人も、何もかも。

仮にその混沌の中で、一縷の望みを得られたのなら、その人は、得られなかった大多数の人たちの代わりに、果たさなければならない使命がある。

それが、生きて、残る、ということ。

「私」に課せられた最後の命令。その真意。
それは小隊の仲間の家族に顛末を伝えることでも、写真を手渡すことでもない。
生きて、残る、ということ。

この「残る」ことの意義を、観照されられる作品。

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