概要
滅びゆく、光も見えぬ武蔵野に
度重なる科学の発展。それはやがて雲という副産物を生み出し、大気汚染によって地球は空の光を失った。
そこで人々は、各主要都市に置かれたAI搭載型空気清浄機に一縷の望みを託して、快適な他の星へ次々と避難していったのだった。
これは、東京、武蔵野台地に設置された空気清浄機「エアリス」と、その話し相手として居座る「博士」、二人の物語である。
そこで人々は、各主要都市に置かれたAI搭載型空気清浄機に一縷の望みを託して、快適な他の星へ次々と避難していったのだった。
これは、東京、武蔵野台地に設置された空気清浄機「エアリス」と、その話し相手として居座る「博士」、二人の物語である。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ディストピアを照らす月
環境同様、心も荒んで不思議ではない武蔵野。
粋な人間ともののあはれなAIがそこに見出す理想の月が余りにも美しいです。
博士の決断により月が姿を現した時の光明も鮮やかでしたが、その時間が儚く過ぎてしまった後、ディストピアに芽生えた月を想う心は彼等の背負う未来を支える光にも思えました。月を見る経験が管理側であるAIの何かを確かに変えたのを感じます。
限りある命の人と人にメンテナンスされて命繋ぐAI。共に月を再び見てほしいと願うと同時に、仮にどちらかがより長く課題に向き合うことになったとしても、この歌は残された側にとって明かりになり得るでしょう。
AIを慈しむ人と人を慮るAIの究極の思いやりは、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!0と1の羅列の中に優しく潜んだ、仄かな微熱と瀟洒な風情
人の過ちで、人の住まうことができなくなった、台地。
その再起を担った「博士」と、0と1の羅列で自我を形成するAI、エアリス。
ふたりだけの閉じられた空間の中で、かつてこの地に溢れていた風情を妄想する。
無から何かを産み出すことができなくとも、エアリスは無数の桁数の0と1を駆使して、昔ここに確かに在った、博士の懐古する武蔵野の台地を、健気に掬い上げる。
何を発しても、何を想っても、虚しくくぐもってしまってもおかしくない暗く狭く澱んだ世界。
その中で、どこか不器用に寄り添う人と機械。
ふたりの不可思議な関係の中に潜む情という微熱を、少しはにかみながら、瀟洒で粋な“唄”でラッピングした、心に染…続きを読む