概要
ベランダに充満した腐敗臭と出来損ないの僕と、魔法使いのお姉ちゃんと
「開始コドンって知ってる?」
ベランダで一人佇む僕に向かって、隣の部屋に住むお姉ちゃんはいつもよくわからない呪文のようなことを言ってくる。
それがなんなのか、聞いたり考えているうちに気がつけば朝は来て、気まぐれなお母さんが窓の鍵を開けにやってくる。
「なんで大体同じタンパク質で出来てんのにさ、遺伝子一つでこんなにも出来が違うんだろうね。人間って」
夏の夜、ベランダに漂う腐臭の生まれ方を、この時の僕はまだ知らなかった。
ベランダで一人佇む僕に向かって、隣の部屋に住むお姉ちゃんはいつもよくわからない呪文のようなことを言ってくる。
それがなんなのか、聞いたり考えているうちに気がつけば朝は来て、気まぐれなお母さんが窓の鍵を開けにやってくる。
「なんで大体同じタンパク質で出来てんのにさ、遺伝子一つでこんなにも出来が違うんだろうね。人間って」
夏の夜、ベランダに漂う腐臭の生まれ方を、この時の僕はまだ知らなかった。