概要
過ぎ去っていったあの夏へ
彼女は生きてゆく。あの夏の想い出を胸に抱えて。
第三回角川武蔵野文学賞応募作品(最終選考)。
*続編を書きました
「近くて遠い、その一歩」
https://kakuyomu.jp/works/16818093073100749641
第三回角川武蔵野文学賞応募作品(最終選考)。
*続編を書きました
「近くて遠い、その一歩」
https://kakuyomu.jp/works/16818093073100749641
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!寺町の傍らから望む、ここより近く、でも君までは遠い展望台を想う
どこかふわふわしてあどけない、大人と子供の狭間で揺らぐ時期。
たった数年の年の差が、まるで高い壁のような隔たりを感じさせるこの時期独特の、閉塞感と遠い距離感。
彼女が背伸びをして、彼が屈む。
そうやってふたりは、ふたつの心の在り処を縮める。
作中で展開されるハルと「私」のダイアログは、そんなふたりのぎこちなくもけなげな歩み寄りを、軽やかに届けてくれる。
上野寛永寺の子院が建ち並ぶ寺町、谷中の情景の中から、ふたりの記憶の“ランドマーク”でもあるスカイツリーを望み、三百メートルを近くとも遠くとも想う「私」の心情を、静やかに綴る秀作。