白百合の病

作者 宵澤ひいな

48

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★★★ Excellent!!!

繊細な言葉で綴られる美しい物語でした。

主人公が惹かれたミヨシ君は透明感のある少年。でも、それだけではなかったのです。

徐々に明らかになる残酷な現実。
それでも主人公もミヨシ君も悲観するだけではない。二人の心の通わせ方は普通ではないかもしれない。でも、とても美しい。

ピアノ曲と折り紙。オフィーリアの絵。美しい二人にぴったりです。

悲しい結末だと普通の人は思うでしょう。でも、主人公は幸せだというのです。
透明な永遠の想いを抱いて、指からそれを音の結晶にして、アラベスクを引き続ける主人公の姿が残ります。

美しい時間に揺蕩わせてくれる物語です。

★★★ Excellent!!!

「透明」という言葉は全編を包むキーワードです。ピアノの音色も、ミヨシ君の存在も、先生の想いも、全てが透明で美しい。
語り手であるササオカさんは自立した一人の女性であり、大人である。大人になるということは濁りを知っていくこと。しかし彼女の中には社会の常識にはまりきれない、濁りきれない少女性があります。そんな繊細なササオカさんの目に映るからこそ、ミヨシ君の存在が余計に透けて見えるのです。
ラストの美しさはピアノ曲を聴き終わったあとの清々しい余韻と同じ。幸せな女の子という言葉が胸に沁みます。
おのれの「生」を静かに熟思するとはこういうことであり、きれいな日本語とはこういうものだというお手本を見せてくれる作品です。

★★★ Excellent!!!


ピアノ教室で出会う少年と社会人の私。

ミヨシくんはいつも折り紙を折り、ドビュッシーのアラベスクを弾きこなします。その姿は白く、美しくか細いひな鳥のようです。

私はそんなミヨシくんに不思議な印象をもっていましたが、徐々に彼のことを知っていきます。

何故彼が不思議な雰囲気を纏っているのか、髪が切りそろえられているのか、何故折り紙を折っているのか。

彼の真実を知った時から、透明な存在に近づいていきます。
止められない流れだとしても、その流れを受け入れて交流を深める二人の距離が愛おしくなります。

不健全な愛を差し出し、それを受け入れた彼ら。
ほろりと苦いケーキを食べた時のような幸福感が身を包みます。

幸せな二人の物語です。

★★★ Excellent!!!

ピアノ教室での出来事。
そのためか、無音の中でもクラッシックのピアノが奏で出す旋律をバックに、美しい儚い少年とそこに想いを寄せる主人公の物語が進行していきます。
文体も優しく敬語調なので、ゆったりした時間の中でのときめきや切なさ、いろんな感情が膨らみます。
美しい。
本当に、美しい以外の言葉がありません。

★★★ Excellent!!!

……音楽。
それに「ピアノ」を中心として描かれた作品。
私も物語の運びは違えど、同じテーマで「ピアノ」作品を書いていますが、なんて透明感のある物語の運びなんだろう……って、本当に読みながら学ぶことばかりでした。

余韻を残しつつ、繊細に描かれたこの作品の印象は、静寂の風。
音が聞こえそうで聞こえない、聞こえないようで聞こえるみたいな……。
確かな音はそこにはあって、玉虫色の夢のような空間でした。

見えないものが見えてきそうな……。
そんな感覚で読者を「音の世界」へ誘います。

本当に透明感があって、素敵な作品です!
こんな作品を作れるようになりたいと素直に思いました。
ありがとうございました!!

★★★ Excellent!!!

まず驚くのは、その美しい文体です。

それはまさに『ピアノの調べ』を思わせるやさしさ、そして美しさで、われわれ読み手に語りかけてくるのです。

いっぽう繊細なようでいて、その内部には、ほとばしるような熱情が、燃え盛っているようにも感じます。

哲学的な問いかけもテーマの一つだと思いますが、決して難解ではなく、そよ風が頬を撫でるように、やはりやさしく、語りかけてくるのです。

作者さまの手になる本作、率直にすごいと思いました。