心を震わす、清く澄んだ旋律

穏やかな文体で綴られる、優しく、それでいて壊れることを人の手では止められないような、泡沫のごとき物語という印象を抱きました。幻想的でありながら幻想の中だけに留まることはなく、何処かリアリティーのある繊細な描写は読者である私たちの中へ清水のように染み渡っていきます。透明感がありながらも、たしかに其処にいるという“生”の煌めきを感じました。
切なく、それでも心を包み込むような読後感を覚えられる作品です。

その他のおすすめレビュー

硯哀爾さんの他のおすすめレビュー38