恥ずかしながら、あまり中華風ファンタジーを読んでいない自分ですが、それでもこの作品の完成度が桁外れだということはわかります。緻密な世界観や設定、流麗な文章、生き生きしたキャラクター(まだ真意のつかめないセツや、敵方のジスラだってカッコいいのです!)、先の先を読み裏の裏を読む駆け引き――。兎国初の女王を目指して奮闘する主人公のルドカを応援せずにはいられませんし、ルドカと紅玲の主従の絆にも胸が熱くなります。藍明も加えた三人の関係がどうなるのかも、気になってしかたがありません!
中華風ファンタジーといった趣ですが、大河ドラマや歴史ファンも満足する重厚な設定。しかし取っ付きにくい感じはありません。周囲の慣習にめげずに王を目指す主人公と、そしてタイトル回収?とも思える謎めいた人物の対話が実に印象的でした。このレビューを書いている2024/5/18時点では第二章の半ば。新たな人物が登場し、世界観がますます広まっています。特に歴史ファンタジー好きにはお勧め出来る、秀逸な小説。先が楽しみです。