犬とオオカミの間

作者 柊圭介

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★★★ Excellent!!!

ここまでセンスを感じさせられることはなかなかないと断言できるエッセイ。パリの生活感、そこで暮らす人々の息遣いがまざまざと感じられる。全体的に主観的とも客観的ともとれる視点構成が文体とマッチしていて海外生活エッセイなのに共感以上の説得力がある。そしてやはり美しい。
私はタイトルで引き込まれましたが、数話触れたところでパリに行ってみたい、フランスに行きたい、って誰しもが思うはず。

是非ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

 このエッセイが始まったのは、丁度新型コロナウイルスが世界中に広がったころ。作者の柊さんはフランスで生活をされている方で、当時の様子をここで語って下さっています。
 あのころのフランスは、外出制限がかけられた時期だったので、最初の方を読んでみると当時の大変さが思い出されます。

 それから少しずつ季節が移ろい、春、夏、秋、冬、と柊さんが経験したことを、とても丁寧な言葉で書き綴っています。
 私が特に好きなのは、「南仏記④ ミツバチとラベンダー」。
 これは新型コロナウイルス蔓延中でありながらも、バカンスに行きたがる同居人のフランス人と、南仏へ行ったお話。そこで、ミツバチとラベンダーとの出会いがあるのですが、読んでいるとまるで自分もそこに行ったような気分になります。「旅行に行きたくても行けてない!」という人には、少し旅行気分を味わえるのではないでしょうか。

  また、食べ物の話もあります。
 「バゲットの味」という話には、書き綴られる言葉から想像すると、本当にバゲットを食べているような気分になります。
 焼きたて、出来立てのバケットを食べる時の感覚!
 文章からバターの良い香りがしてきて、とても美味しそうです。

 他にも魅力的なお話が沢山。
 時々現実に引き戻されるように新型コロナウイルスの話がありますが、お陰で「世界中どこでもこの感染症と闘っているんだな」という、「私たちは私たちが我慢しているんじゃない。世界の皆が大変な思いをしているんだ」ということを、思い出します。
 このエッセイは、今、新型コロナウイルスが生活にある、私たちと共に歩んでいます。きっとこの先少しずつ、作者さんが人々との交流を楽しむお話が登場するのではないかと、ちょっぴり期待しています。その小さな期待を胸に秘め、続きを楽しみたいです。

 最後になりますが、『犬とオオカミの間』というタイトル、何だか不… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

フランスのその土地土地で心を込めて作られた料理を味わい、窓の外の風景をゆっくりと眺める。まるでそんな贅沢なひと時を過ごすような、深く豊かな味わいのエッセイです。
このエッセイの素晴らしさは、既に多くの方々がレビューに書かれている通りなのですが、私がこのエッセイに触れて改めて深く感じることは、「それぞれの国の文化は、その国の歴史に深く根ざしている」ということでした。
境界線という一本の線でのみ領域を区切られている土地は、侵略などの危険と常に隣合わせの歴史があります。自己をはっきりと主張し、戦うべき時に戦わなければ、自分達の暮らしを守れない。そんな古くからの覚悟というようなものが、そこに住む人々の根底にある。国の文化は歴史によって作られるなんて当たり前だと言われてしまうかもしれませんが、作者様が現在暮らされているフランスの文化を綴る確かな文章に触れ、改めてハッとさせられるのです。日本という、ともすれば閉鎖的な平和を守れてしまうこの国には、明らかに欠けているものがある。自らの主張をはっきりと掲げ、時には衝突してでも自分達の権利を守る力が。
なんとも個人的な感想をぶちまけましたが、その国の「文化」というものについて深く考え、改めて見つめるきっかけをくれる、奥深く濃厚な味わいを持ったエッセイです。

★★★ Excellent!!!

フランス在住の作者が、日常生活の風景や感じたことを綴っているエッセイです。
パリ市の標語である「たゆたえども、沈まず」
パリの夕暮れを表現した「犬とオオカミの間」
フランス的桜の鑑賞と日本的桜の想いを綴った「フランスの桜、日本の桜」
フランスにお住いの作者だからこそ語れる上記のような作品もあれば、やるせない気持ちや寂寥感、浮き沈みする心を言葉にした作品も繊細な感性で描かれています。そのどれもが色鮮やかでバラエティーにとんでいます。
知的で美しい表現。季節や空を鮮やかに切り取った言葉たち。風景描写と心がリンクした詩。真面目に語っているのに毒っ気たっぷりのユニークさ。くすくす笑ってしまう、そっと差し込まれた小ネタ。
フランスという土地柄や雰囲気を楽しむだけのエッセイではないと、読み進めるうちに気づくはず。

古今和歌集、紀貫之。
「やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける」
(和歌は、人の心を種として、葉っぱのように生い茂っている言の葉である)

日本とフランスを両方知る作者の心で育った種が言葉となり、羽となってわたしたちの手元に届く。
遠く離れている人の言葉や想いにふれられるのもカクヨムの楽しみですね。

★★★ Excellent!!!

パリに住む筆者によって綴られるありふれた日常や風景の一コマ一コマが、こんなに心地良く染み入ってくるのは何故だろう? 
そこが日本ではなく、フランスのパリだから?
きっとそんな事ではないのだと思う。
素敵なエッセイには、日常から離れたちょっとした海外旅行気分の味わいだけでなく、自分が今生きている場所を大切にしたくなる何かがある。

黄昏時、夕暮れを形容する言葉
「entre chien et loup」(犬とオオカミの間)。
この言葉に魅了されました。フランス語の音も綺麗なんだろうな‥‥‥

少しずつ更新される小さな小説のような一話一話がとても楽しみになる作品です!

★★★ Excellent!!!

たゆたえども沈まず。この言葉を、私はこのエッセイで初めて知りました。作者様のフランスでの生活をメインに綴られたエッセイには、この1話目のタイトルに象徴されるような落ち着きがあり、どんな揺らぎも凪いだ水面のように整っていくような安心感があります。見たことがないはずの風景だけではなく、その場に流れる空気までふんわりと優しく伝わってくるのは、美しく丁寧な筆致のなせるわざなのでしょうね。拝読している時間に幸せを感じます。これからも更新が楽しみです。
初めて知る異国の文化や、人々の日常、言葉へのときめきが散りばめられたエッセイ。おすすめです。

★★★ Excellent!!!

作者様がどういういきさつでフランスに住まれるようになったかはわかりませんが、外国での生活、色々苦労もおありだろうと思います。
しかしここにはそういう苦労話はなく、パリを始めとしたフランスの各地の、細やかな美しさが存分に綴られています。
ありありと、そうしたフランスの光景や出来事が伝わってきて、自分がそこに行ったような気分に浸れます。
フランスに興味のある方、フランスに行ってみたい方はもちろん、どんな方にも楽しめる上質な体験談なのです。

★★★ Excellent!!!

筆者様はパリにお住まいで。
まちの色。
路地裏の石畳。
静かなる美術館。
パリッとうまそうなバゲット。
溢れるような市場の賑わい。
そんな素敵なパリの装いを、豊かな言葉で届けてくれる作品です。
そこには、筆者の深い想いや詩情も散りばめられて。溜め息が出るほどの美しさ。

訪れてみてください。
優しい香りに包まれることでしょう。

オススメですっ

★★★ Excellent!!!

パリと聞いて思い浮かぶ華やかなイメージとは異なる、リアルの生活が鮮やかに描かれるエッセイです。

そこで綴られる言葉は無駄なく美しく、なによりもパリへの愛がこもっていて、思わず息を呑んだり、しみじみと感じたり。

「たゆたえとも沈まず」はパリ市の標語とのことですが、新型コロナウイルス感染症と戦う今の世界にふさわしい言葉ではないでしょうか。

たくさんの人に読まれてほしいエッセイです。

★★★ Excellent!!!

セーヌ河の流れる地から届く日々のエッセイです。
水は、時代と風景と心を映して、たゆたいます。
揺れる風景の中に生きる作者様の心の流れが見えてきます。

新型ウイルスの蔓延で世界的に苛酷な状況の中、
フランスという国では何が起こっているのでしょう。
作者様の生きる「現在」が伝わります。

タイトルの『犬とオオカミの間』は、
奇蹟的に美しい黄昏の空模様のことです。
フランス語の綴りは「entre chien et loup」
読み方は「アントルシアンエルー」

夕刻の空。それが、どんな色の空であっても、
明日も明後日も眺めていられますように。
願いたくなる彩りに充ちたエッセイです。

★★★ Excellent!!!

パリ在住の作者による、さまざまなフランスの姿を映し出したエッセイです。
みずみずしい表現力で描き出すフランスは、高尚な文学作品のようでもあり、美術館で仰ぎ見る美しい絵画のようでもあり…。
ただフランスのことがわかるだけでなく、言葉のひとつひとつがじんわり、しんみりと心に染み渡ります。

『犬とオオカミの間』
この言葉の意味を知るだけでも、込められた映像の美しさにはっとさせられることでしょう。
心からお薦めできるエッセイです。
ぜひご鑑賞ください。