ミュゲ書房

作者 オレンジ11

61

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★★★ Excellent!!!

思い砕かれて出版社を退社した、若き編集マン。社会人としての体裁か、編集マンとしての情熱か。煮え切らないままに任されることになった、祖父経営の「ミュゲ書房」の店仕舞。
しかしミュゲ書房は一風変わった経営をしており、常連さんも一癖もある人ばかり。
そして持ちかけられる、「自伝を出版してみないかーー」
自分の人生とどう向き合うか、そんな葛藤を胸に、主人公はどんな明日を選択するのだろうか。

徹底的な調査と自身の経験を見事に昇華させた内容は、見事の一言。読みやすく繊細な筆致で、ぐいぐいと物語に引き込んでいきます。

特別賞受賞の実力派作家が贈る、圧巻のフューマンドラマ。
出版業界に興味がある方なら絶対チェックです!

★★★ Excellent!!!

「あぁ、ここにあったんだね。ミュゲ書房」
そう口に出して言う日を待ち望んでしまうような、そんなお話しでした。学生時代も、勿論今も、こんな居場所が欲しかったなぁ。なんて。

「これが現実だよな」と思わせるような社会や現状と温かく優しいストーリーが同じ鉢植えで共存しています。なんだかお風呂に入っているかのような感覚になる小説でした。一話一話が決して長くはないのですが無駄な文章がなく、優しい表現であるというのに中身がぎゅっと詰まった重厚さを感じました。

元々編集者として働いていたが事情により職を離れた主人公がじいちゃんの残したミュゲ書房と共にどう生きていくのか、そして彼が担当していた「賞をとっていたが出版にならなかった小説」の作者は…。繊細な背景と巧みな会話、そして魅力的な登場人物達にどんどん夢中になっていきます。気が付いたら毎日ミュゲ書房に通ってしまいます。会員証、作りました。今日も5時間はいたかなぁ。

★★★ Excellent!!!

作家との確執のために出版社をやめた元編集者の若者が、地方にある個人経営の書店を再開させるお話です。

出口が見えない出版不況と業界の闇の関係。
才能ある作家が潰されてしまう原因。
この作家さんはもしかしてあなたかもしれません。

元司書のおじいさんがつくった書店は、本好きならば一度は訪ねてみたいと思うーー書店員なら「こんなお店で働きたい!」と思うお店でした。

『ミュゲ書房』はたいせつなことを教えてくれます。

ぜひ紙の本で!(できるなら文庫でなくてハードカバーの単行本で!)じっくりと読みたいと思える作品です。


スズランの花言葉は……
本屋に行って調べます。

★★★ Excellent!!!

 北国の書店「ミュゲ書房」を舞台にした物語。
 端正で清潔な香りのする筆致で描き出されているのは、出版や書店を取り巻く厳しい現実、そして主人公の挫折と再生です。

 ひとつの本が出版されるまでの厳しい世界、どろりとした側面。書店経営の難しさと、本を愛する人たちの想い。そのどれもが非常にリアルで、自然で、つい「小説」と「現実」の境目が脳内で曖昧になってしまうほどです。
 自らの本を世に出すことを目指している方、本が好きな方ならきっと、深く突き刺さるのではないかと思います。

 主人公、ミュゲ書房、みんなのもとに、再び幸せが訪れますように。
 これからも、彼らの未来を祈りながら拝読したいと思います。

★★★ Excellent!!!

 こんなネット小説の世界で、モノを書いて発表したり読んだりしている人達は、そろそろ気付き始めている。
「ラノベはレッドオーシャン」だと。
 要は作品も作者も溢れ過ぎている。
 書店には大抵、ラノベ専門のコーナーがあるが、続編が出ているのは、ほんの一握り。
 カクヨムでも「書籍化決定しました!」との報を目にするが、書店で出会った作品数など片手で数えられる(他のサイトも同じだけど)。

 本作は、ラノベを取り巻く出版事情を「これ、実話っしょ?」と突っ込みたくなるほど、リアルでディープに、ただしダークにならない実に巧いサジ加減で描いている。
 作者さんの調査能力と筆力が出版レベルという、いい意味で皮肉な作品である。

 私事だが、この年にして、初めてラノベに挑戦してやろうかと虎視眈々中だったが、中々の冷や水を浴びせてくれる。
 冷やっこくて気持ちいい。

 他の方のレビューを拝読すると、本作の環境はリアルに近いのだろう。
 ウンザリはしない。
 上等だな、と思う。

 もはやジャンル自体がなだらかに斜陽へ向かっており、書き手の99%がライバルというサバイバルな土俵に立ってやる! 
と、奮起させられた。

 「出版のグロバナとか読みたくないしー」とか言ってる暇があるなら、さっさとお読みなさいよ、と思う。

 家族の思い出、古き良き「本屋」のストーリー、地方の政治絡みエピソードなど、読みどころは豊富です。

いや、マジでこれを書籍化しろよって思う今日この頃なのです。

★★★ Excellent!!!

1990年代、いや00年代初頭までは王道ファンタジー、王道恋愛、世界系といったものが中心だった。それが一部のキモオタの購買力を充てにして「キモオタ」専用になってしまった。そしていつのまにかそれが「わが社」の購買層になってる。出版というのは多種多様だから意味があるのにライトノベルは「キモオタ」以外読めないという状況がここ15年くらい続いている。で、売れなくなるととにかく出版点数で稼ぐ。それは自殺行為なのに。

ラノベがどんどん死んでいく現実を描いた問題作!!

「大賞に選んだのは、お前が強引に推したからだ。それに、たしかに才能と実力はある。だがな、うちのレーベルで出す本を買う読者は、うちのレーベルらしい作品を求めている。ストレスフリーとハーレムだ。そこから外れるわけにはいかない。なあ、秋田?」

このセリフが、すべてだと思う。

★★★ Excellent!!!

ものを書く人。自分の書いたものが本になる場面を夢見ている人。
そんな全ての方に読んで欲しい作品です。
「作品を書く」ことと、「その作品を売る」ことの間に広がっている、巨大な溝。書く側の心情と、それを売る側の思惑。そのずれがいかに大きかを、作者はストーリーの中で非常にリアルに描き出しています。心身をすり減らして物語を書くことの重みは、いったいどこへ行ってしまうのか……書く側として、そんな疑問を抱かずにはいられません。
物語はまだ始まったばかりですが、ここから先の展開を楽しみに拝読したいと思います。

★★★ Excellent!!!

実はその昔、僕もとある全国誌に連載を持っていた時期があります。最初は口約束で単行本化を条件に連載をしていたわけなんですけど、編集部内では評価が高かったようですが、連載が終わり、いざ蓋を開けて見ると親会社の双◯社がどうしてもゴーサインを出さないと言うのです。

理由は簡単。知名度がない、その一点でした。

この物語はそのへんの内幕をリアルに描いています。女魔導師の物語なのにハーレムを強引にねじ込めさせるなどの不条理。出版業界は甘くないとかつての自分を重ね合わせて読んでいます。

物語はどう展開するのか、興味がつきません。