改めて「出版の夢が叶うなんて良いなぁ」と思った。特に書き手にはお勧め。

或る作家が出版に漕ぎ着けるまで、元編集者が支援する。それだけの話なんだが、ちょっとスリリングで、読ませる。

また、出版物としてブラッシュアップされる過程が丁寧に描かれていて、当然ながら文章校正の成果は確認できないけれど、臨場感がある。
本作品は現に校正後に出版されたそうで、WEB版と実物を読み比べる事で追体験したいな、と思わせる。
私がカクヨムで読んだ作品の中で書籍を買いたいと思った作品は、カクヨム書籍化第一号の「自販機の彼女に恋した」みたいなタイトルで、あれは良い作品だった。実際に本屋で探したけど、棚には無く、注文する意欲まではなくて、そのままになっている。
だから、配本の重要性は分かるし、購買に至る事にも幸運が必要なんだと実感した。
その後は、私が長編を好む事も多分に影響するが、改めて読み直そうとは考えなかった。
ところが、本作品は10万字ちょっとだし、ナマと校正後を読み比べてみよう、との興味が湧く。
そう言う観点で、読み手は勿論だが、書き手に読んでもらいたい作品です。

でも、作中に悪徳出版社が登場するが、よくカクヨムが出版に手を貸したもんだ。

急な話題転換だが、作者の別作も読んだ事がある。「市長の恋」だったと記憶しているが、既に掲載を取り止めたようで、違うタイトルだったかもしれない。その別作にも、僻地にあった大学を市街地に移して地域振興に繋げる政策を掲げていたと思うが、恐らく作者の持論なんだろう。

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