概要
大家さんが「幸一郎さん」と名付けた子猫は「サビ猫」のオスで、幸運を運ぶといういわれのある毛並みだ。
そして、これまた偶然出会った東原さんという女性と恋に落ち……。
大人の恋愛。一般文芸が好きな人向き。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!ありふれた、や、平凡、というのは実はけっこう手に入りにくいものですよね
捨て猫が結ぶひとつの出会いから、お話は始まります。
主人公の笹井文哉くんは人生の岐路に立っていて、絶賛お悩み中。
会社と恋人と、自分のやりたい研究の間で、板挟みになっていたのです。
そんなときゴミ集積所で拾ってしまった子猫。
やさしい文哉くんは見捨てられず、子猫の世話をするのに、見ず知らずの女性に力を借りることになりました。
その女性がヒロインの東原さんです。
猫を介してふたりは仲良くなりますが、文哉くんの現実問題での悩みは、ふたりの間にも影を落とすことに……
ありふれた、とか、平凡、とかいうのは、実はけっこう手に入りにくいものですよね。
ひとつひとつ、つみ重ねられて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!頼りない主人公を応援せずにいられない恋の話。猫と一緒に見守りませんか?
主人公の笹井文哉は、会社を辞めて大学院に入り、研究者の道を目指そうとしていました。
大学院入試の朝、彼が出会ったのは捨てられた子猫。子猫が気になり、試験に行くに行けない彼の前に現れたのは、近くに住む女性、東原希和でした。
希和と出会い、彼女のことが気になっていく文哉。
研究と恋の間で迷い、問題を先送りしがちな面もある文哉は、時にかっこ悪くもあります。
しかしよく考えると、現実にもかっこいい人ってなかなかいないと思うのです。
だからある意味、等身大な彼の恋を、気づけば「しっかりして!」と応援していました。少しずつ成長していく彼の姿は必見です。
一方で、希和はある特徴を持っていますが、物語の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幸運の猫がつないだ、ありふれた恋のお話
社畜生活に終止符を打ち、大学院にはいりなおすための大切な試験の日。主人公の笹井くんはゴミ集積所で捨て猫をみつけてしまいます。あとからくる誰かに気づいてもらえると信じて試験に向かおうとするのですが……
お隣のお兄さんお姉さん、あるいは街ですれちがった若者たち。等身大の、ほんとうにすぐそこにありそうな恋のお話です。
主人公の笹井くんは基本的にやさしくていい奴なんだけども、大切なところで『それはアカンやろ!』と思わずエセ関西弁でツッコんでしまうような言動がみられ、個人的にはお世辞にも応援したいとは思えない主人公でした。わりと後半まで。しかしそれだけに終盤の巻き返し(成長)が非常にきわだっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!しあわせを運ぶ猫が繋ぐ、縁と恋
大学院進学を目指す社会人の笹井さんは、ある朝、捨てられた子猫を見つけます。
そしてそこで出会ったのは……。
私がまず惹かれたのが、登場する人たちすべてが、自らの過去の上にしっかりと立って人生を歩んでいるのがわかる、「人物の立体感」です。
だからどの人の思いもしっかり受け止めたくなるし、現実のすぐ近くで紡がれている物語のようなリアリティがある。
主人公の笹井さんも、完全無欠のヒーローではありません。
だからこそ共感したりコメント欄でツッコミを入れたりして、感情を揺らしながら物語世界にのめり込んでいってしまいます。
そして人々を繋ぐ重要な役割を果たす、猫の幸一郎さんのかわいいことといったら…続きを読む