ありふれた、や、平凡、というのは実はけっこう手に入りにくいものですよね

 捨て猫が結ぶひとつの出会いから、お話は始まります。
 主人公の笹井文哉くんは人生の岐路に立っていて、絶賛お悩み中。
 会社と恋人と、自分のやりたい研究の間で、板挟みになっていたのです。
 
 そんなときゴミ集積所で拾ってしまった子猫。
 やさしい文哉くんは見捨てられず、子猫の世話をするのに、見ず知らずの女性に力を借りることになりました。
 その女性がヒロインの東原さんです。
 猫を介してふたりは仲良くなりますが、文哉くんの現実問題での悩みは、ふたりの間にも影を落とすことに……

 ありふれた、とか、平凡、とかいうのは、実はけっこう手に入りにくいものですよね。
 ひとつひとつ、つみ重ねられていくふたりの日々、ふたりの想いが、恋の障害を乗り越えさせていく、その姿が心を打ちます。
 猫ちゃんも、ここぞというところで活躍してくれますしね♡

 淡々と綴られる文章で、心地よい読書時間を過ごせますよ。
 ぜひ、おすすめします。

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