あらすじに関しては、他の方々のレビューを参考にしていただければと思います。
作品は鉱山と港町が舞台となっていますが、歴史を含め現実にある部分の情報についてしっかりと裏取りをしながら脇を固め、架空の部分を上手に加える作者の手法は健在です。
そのことが作品にリアリティと重みを与え、さらに淡々とした語り口でじわじわと迫ってくる。
特に終盤「サラカツギ」の謎が明らかとなって話が繋がったときは、全身にざわざわとくるものを感じました。面白い!
安易にスプラッタに頼ることなく怖さを表現できるのは、作者の筆力あってのものだと思います。
シンプルに内容が面白ので、是非読んでいただきたい作品です。
ジャパニーズホラーとしての恐怖と美しい日本の色とりどりの景色が織りなすホラー作品です。
圧倒的な筆力で描かれる丁寧な情景描写はまさに作者様の文章力の高さ故の物語です。
物語の主人公は、江洲楓。学校の非常勤講師として働いています。ある日、卒業生の久繰里あかりから「おねえちゃんが」が行方不明になったと相談を受けます。怯える彼女の相談を受けながらも不気味に感じる主人公。その時に預かったカラス玉――これが物語の鍵となります。
ある晩、久繰里あかりが突如として自宅に現れます。同居している竹園灰と共に彼女を自宅に送り届け――
魅力的な主人公たちがそれぞれの価値観や考え方を持ちながらカラス玉と、おねえちゃんの謎を解明すべく恐怖へとゆっくり向かっていきます。
後半から視点が切り替わる展開は秀逸です。読者を物語の世界に引きずり込みながら、新たな世界観の幕開けでした!!
ひたひたと、じっくり迫りくる恐怖はまさにジャパニーズホラーの真骨頂!
ぜひご一読下さい!