天使に惑わされようと地獄へ向かおうと、罪を抱いて生きる女の魂は汚れない

タイトルにもある『罪の女』とは何だったのか。
本作の主人公たるマカレーナは、娼館の女王にして麻薬カルテルのボスの愛人。どっぷりと社会の闇の中で生きる女性です。
だけどこの場合の『罪』は、もっと魂の根深いところにあるものを指しているように思います。

読み始めてすぐに、マカレーナに惹かれました。明るく奔放で、何にも囚われない強さ。
周囲を取り巻く登場人物たちも魅力的で、血の通った、そして血生臭い人間関係が見事な筆致で描き出されていきます。

金か、権力か、性か——愛か。
人が生きる上で、切っても切れない欲望がある。それによって過ちを犯すかもしれない。
マカレーナはきっと、そういうものを全て抱き込んだ上で、堂々と生きているのです。
だからこそ、その魂は気高く美しい。

ハラハラする銃撃戦や入り乱れる愛憎に、濃密な映画を3本ほど立て続けに観たような満足感。なんなら最終章ずっと泣いてました。
カリブの空気を丸ごと味わえる、素晴らしい物語でした!

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