登場人物たちが活き活きと自らの人生を切り拓く、日常と抗争の鮮やかな世界

カリブの陽射しと若者たちの姿が眩しくて、その空の許で展開される抗争は妖しくてスリリング。
作者様の卓越した筆致が「日常」と「抗争」を的確に捉え、各登場人物に固定されたカメラが動いているかのように、キャラクターの躍動を余すところなく心まで、読み手に伝えてくれます。
舞台やキャラクターの設定が、確実に練られているのでしょう。安定感があります。章のあいだの「幕間コラム」は、飛ばして読むのが勿体無いクオリティ。

正直「カリブ」の眩しさには縁の無い私でしたが、「カリブ」の風景の中に居るマカレーナやガブリエルやダニエリの「琥珀色」した煌めきのエピソードの数々に、どんどん惹き付けられました。
「琥珀色」というのは、コカの葉の色でもなく、登場人物たちの健康的な肌色でもなく、「太陽の輝き」が宿る文章への私なりの讃辞です。
続きを拝読するのが楽しみになる物語です。

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