てな、言葉が聞こえてきそうな楽しいエッセイ。
素人落語集団が成り上がりそうで、実はそううまくいくわけでもない、むしろトホホな出来事がこれでもかとつづられていきます。
落語好きの作者ならではの、軽妙洒脱な語り口がなんとも味わい深い。
ダジャレがあって、落語があって、下ネタまで混ぜ込んで、一行の成長を面白おかしく語ってくれます。
エッセイの面白みの一つは、作者さんの目を通してみる世界の独特さです。
はたから見れば「あいつらなにやってんだ?」な出来事の数々も「ホントしょうがない人たちだねぇ」と笑いに変換されていきます。
むしろ落語を半ば真剣に(揃いの着物あつらえたり)、半ば適当に(でも大して練習してなかったり)こなしていく彼らが、ネタの宝庫と化していくさまがとにかく面白いのです。
同時にこの作品からは作者様の落語愛がひしひしと伝わってきます。
人生ってままならないことが多いもの。
それでもそこにとらわれずに、自由な気持ちで笑ったり、呑気に構えていたり、笑い飛ばしてみたり、貧乏や不運ですら楽しむ心構えがひしひしと伝わってきます。
現在の世相は、特に何事に関しても、固く考えすぎたり、かたくなだったり、余裕がなかったり、という傾向があると思います。
こういうときだからこそ、この落語の世界の持つ気楽さ、明るさ、笑いの大事さ、を忘れずにいたいなと、この作品を読んで改めて思いました。
とにかく笑えて、ちょっぴりしんみりして、でもやっぱりばかばかしい話のオンパレードで、パワフルなエッセイです。
しかも心がなんだか軽くなるエッセイ、ぜひ読んで笑い飛ばしてください!
時々、色々な作品の方のコメント欄で拝見する洒落たコメントを残される作者ことローバさん。
なるほど、彼女の洒落たコメントの原点はここ、落語研究会にあったのです。
内容は噺家きどりの愉快な仲間達が引き起こすドタバタ喜劇の中に垣間見るヒューマンドラマ。実話を交えたローバーさんの過去とは一体?
過去の落研の思い出話が溢れんばかりに語られています。芸名を付ける件や、寄席文字の話は結構面白いですよ。オヤジギャグならぬローバギャグが冴えわたる内容は悲喜こもごもなのか?
「どうやらお後が、よろしいようで……」の声が、どこかで聞こえて来るような?
そんな気がしますよ。