その人は毒婦か、それとも聖女か。

カリブの海風が匂うような南米の街を舞台に繰り広げられる人間模様。原色の色彩を思わせる鮮やかな背景に描かれる人間の光と影。
主人公のマカレーナはその街に君臨する娼館の女王であり、カルテルのボスの女という、社会の闇の部分を背負ったような女性です。が、彼女の生き方はそれこそカリブの太陽のように眩しい強さを持っています。
自分に正直でありたいと思いながら自分を犠牲にする不器用な生き方はどこか痛々しい。その姿は毒婦の姿をした聖女を思わせます。
すねに傷を持つ少女、天使の名前を持つ青年、娼館の女たち、カルテルの抗争。色んなテーマが交錯するボリュームのある人間ドラマです。南米の濃い空気の中でたっぷりと味わってみて下さい。

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