人生へのあたたかな視線。

灼熱の太陽と海と風。

南米の地を舞台に、物語は始まったばかりである。
丁寧に登場人物を描き、それぞれに抱える人生をもの語っている。
今後、これらの登場人物がどのように人生を交錯させていくのか、まさに「これから」の物語だと思う。

一見、暗くなりがちな題材を支えているのは、作者の安定した筆致と、根底にある(のだろう)あたたかな明るさだ。太陽に向い、真っ直ぐに顔を上げ、嵐が吹いても「生きる」意思に満ちあふれたそれだ。

実は、これを読んで、クリリンさんの南米冒険ジュブナイル小説を読みたいと思った。
無論、勝手なリクエストである。


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