物語は夫が刺殺された時、傍にいた陽菜子の視点で綴られます。
思う所の多い仲であった夫が、突如いなくなった困惑。目撃者、容疑者と扱われてゆく騒がしさ。時に思い出に浸り、全く別の事を考え、今の状況と似つかわしくない言動をする。
それが、妙な現実感。何か事件が起こったとしても、現実を生きていくという事をひしひしと感じさせます。
そして、思いや考えを多分に含んでいる、彼女の視点で物語が進んでゆくからこそ、写実のように鮮やかな、でも決して実写では語れない、彼女の心理、彼女の心のフィルターを通してみた世界を体感するようでした。
決して先の読めない、常に緊張をはらんだ展開。揺蕩うような薄闇の世界の中で、彼女が辿り着く真実とは―――。
結末に、驚かさせること、間違いありません。
ついさっきまで隣で歩いていたはずの夫が、何者かにナイフで殺害される。
犯人は誰なのか。
警察は妻である自分を疑っているようだが……。
主人公・陽菜子の視点で展開する本作。
ミステリー、事件、となりますと、犯人は誰だろう、真相は? と予想しながら読んでいく方も多いと思うのですが、このお話はなかなかに大人な作品です。
主人公をめぐる複雑な環境、切々と、一方で他人事のように吐露する心理、彼女は孤独なのか、あえて孤独になろうとしているのか……。救いのヒーローも用意してあるのですが、どこか鬱々とした雰囲気が抜けません。混沌ともいいましょうか、配置してある要素は明るいはずなのに、主人公だけはずっと暗いままなのです。
読みやすく、しっかりとした世界観のある作品なので、一気読みもおすすめです。
突如、夫である玜介を何者かに殺された陽菜子。それは、二人で歩いている途中、ほんの少し目を離した一瞬の出来事でした。
しかし陽菜子の悲劇はそれだけでは終わりません。警察が玜介を殺しの容疑者と疑ったのは、他ならぬ陽菜子だったのです。
もちろん陽菜子は無実を訴えますが、状況的に一番怪しいのは彼女で、しかも捜査が進めば進むほど、疑いはますます濃くなっていく。
そんなミステリ要素満載な本作ですが、同時に陽菜子をめぐる人間ドラマでもあるのです。
上手くいっているとは言えなかった夫婦関係。玜介にとって自分はなんだったのか。そして自分は、そんな玜介をどう思っていたのか。
さらにはミステリアスな会社の後輩、東雲君の登場で、彼女を取り巻く環境はさらに一変。彼はなぜ、こんなにも陽菜子に構うのか。
何もわからないまま、謎に包まれた事件と陽菜子の心は、いったいどこへ向かっていくのでしょう。
夫・玜介が殺された。
事件が起こった現場にいたのは、妻の陽菜子のみ。
しかし、彼女は夫から離れた所にいて、殺せるはずもない。
――では、真犯人は誰?
物語は、衝撃的な殺人現場から始まる。
犯人を目撃した者はおらず、警察は陽菜子を容疑者としようとしていた。
陽菜子は自分が夫を殺したのか、それとも誰かが殺したのかと思い悩み……
やがて、会社の後輩と事件の謎を追うようになる。
この物語に流れる、違和感・謎・感情。
それらは時に読者を惑わせ、真実を見誤らせるかもしれない。
陽菜子が最後に辿り着く真実とは……?
それは、あなたの目で確かめて下さい。
ミステリーと歪な愛の形を巡る物語です。
浮気性な夫、玜介の妻の陽菜子。
夫の浮気癖に思う事が無いわけでは無いけど、この人はそういう人だからと諦め、何も言わずに日々を過ごしていたのですが。そんな夫が、ある日誰かに殺された。
いくら浮気癖があるとはいえ、夫が殺されたのです。心穏やかでいられるはずがありません。
ですが悲劇はまだ始まったばかり。なんと警察が容疑者として挙げたのは、妻の陽菜子だったのです。
そんな、陽菜子は無実なのにどうして! ポンコツ警察、もっとちゃんと調べろー!
しかし読み進めていると、どうやらこの事件、一杉縄ではいかないみたいで。殺された夫、玜介と、彼の身内に関わるきな臭い秘密が次々と明らかに。
知ってしまった夫の秘密。やってもいない容疑をかけられて、精神的に追い詰められる日々。
陽菜子の辛い心情がありありと描かれていて、読んでいて心苦しくなりました。けど読む手を止める気にはなりません。事件の真相を暴いて、陽菜子の無実を証明してほしいその一心で、読み進めていきました。
ハラハラが止まらないミステリー。
陽菜子の無実が証明されて幸せになってもらいたいですけど、最後までどうなるか分かりません。
夫、玜介の浮気はいつものことだった。そんな彼に強く気持ちをぶつけない陽菜子もまた、いつも通りの反応だった。
だから会社まで迎えに来た玜介と、ただ一緒に駅まで歩いていた。
彼と永遠の別れになるとも思わずに……
都会の密室。監視モニターの狭間で行われた殺人。
状況証拠は妻の陽菜子を追い詰める。
そんな陽菜子に手を差し伸べる貴公子は、果たして敵か味方か。
事件の真相を追ううちに、仮面夫婦、陽菜子と玜介の実態も暴かれていく。
真犯人は誰なのか。最後に微笑む者はいるのか。
結末まで見届けたいと思います。
(第46話まで読了時点でのレビュー)
丸の内の一流企業に勤める陽菜子。
傍目から見れば、順風満帆な人生を送っていた彼女はしかし、浮気を繰り返す夫・玜介との間に、深い齟齬を抱えていた。
その夫が、彼女と二人で帰っている途上、何者かに刺殺される。
いったい、誰が、どんな理由で?
しかも、監視カメラの映像から、第一容疑者として疑われたのは陽菜子だった。
陽菜子は部下であり、財閥の一人息子である東雲とともに事件の謎に挑むが――。
タイトルの通り、読めば読むほど薄墨色の霧の中を闇へと深く沈んでいくような感覚になるミステリーです。
玜介を殺したのは誰なのか。
背後に何が横たわっているのか。
都会の密室はどんなトリックで作られたのか。
物語はまだ第二章の途中です。気になる方はぜひ追いかけてください!