完成度の高い作品を読みたい方におすすめ!

こちらの作者さんは読ませる物語を書くのがお上手なのですが、今作もとても面白かったです!

生者であれ死者であれ、他人の感覚を自分のように感じてしまう共感能(エンパス)を持つ男子高校生の服部 朔は、幼い頃から自身の能力に悩み、苦しんできました。
彼はひょんなことから怪異的な事件を解決する探偵事務所でバイトすることになり、樹神(こだま)先生の助手として様々な事件に遭遇します。

こちらの作品は連作短編という形で書かれていますが、全体を通してきちんと起承転結の流れになっている所が秀逸。
事件に遭遇する度に服部少年は相手に共感し、悩み、そして頼りがいのある樹神さんと百花さんという大人二人に導かれて少しずつ成長していきます。
最終章での服部少年の活躍に胸が熱くなるのは、これまでの章の積み重ねがあったからこそ。
誰もが知るわらべ歌をモチーフにした導入で読者をぐっと引き込み、事件の全容が紐解かれていくに連れて明らかになる、人間たち(怪異達)の弱さや苦しさには服部少年同様共感せずにはいられません。
怪異を扱う為、ゾワッと背筋が震えるシーンはあるものの、どの事件も最後はきちんと綺麗に落としてくれるのでとても気持ちのいい読了感を得られます。

一見胡散臭い(?)イケオジ探偵と少年のバディもの、読み応えのある作品を読みたい方におすすめの一作です!

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