説明不能な怪事件……でも、迷宮入りにはまだ早い!
- ★★★ Excellent!!!
黄昏時の高架下、寂れてしまった商店街、いつも人気のない公園。あなたの街にも、どこか背がぞくりとするような場所はありませんか?実はその感覚、当たっています。このような場所には怪異が住み、常に私たちを“あちら”へ招こうとじっと目を光らせている――。
この物語はそんな怪異たちが起こす事件が持ち込まれる、少し変わった探偵事務所のお話です。
依頼人が女性だと知ると喜ぶキザな優男が探偵、樹神皓志郎。個性ばっちりな彼が華麗に難事件を解決するのかと思いきや、主人公は彼の助手で高校生の、服部朔くんです。
怪異が視え、さらに常人にはない力を持つおかげで家庭に居場所を失った服部君は、賢いけれど周りに壁を作ってしまいがち。先生の助手として事件に同行するも、あと一歩の活躍ができずに落ち込むこともしばしば。けれど事件をきっかけにさまざまな依頼人との触れ合ううちに、彼はたくさんのものを見つけ、時には失って、小さく小さく前に進んでいきます。
怪異が絡む事件も、その原因となる怪異との対決も、実はびびりの私には結構怖かった!(笑)でも大丈夫、どのお話にも納得できる結末が用意されています。章ごとに事件は見事な解決を迎えるのですが、ミステリらしくその中にもたくさんの仕掛けが。すべてのピースが集まる最終章の盛り上がりは必見です!そしてハンカチのご用意をお忘れなく……!
立ち止まりがちな服部君の背を押してくれるのは頼りになる先生、そして訳あり着物美人の百花さん。それぞれの特技を活かして怪異に立ち向かう二人の華麗なアクションも素敵です。
さらに名古屋の魅力も満載!三人が揃うと名古屋弁での会話が華やかでなんだかかわいい!(笑)そしてあらゆるシーンで読者の胃を悩ませる名古屋メシ&スイーツの猛攻。ああ、今すぐ名古屋に行きたい‼︎いや絶対行く‼︎‼︎
まだまだいくらでもご紹介したいところがたくさんですが、もうあとはご自身の目で確かめてください。☆の数が語るように、本当に魅力がいっぱいの作品!続編もあるのでキャラクターたちを長く愛していけそうです。
ふしぎな事件の裏側にあるのは、いつも誰かの寂しい心。そんな迷子になった心をすっと掬って優しく抱きしめてくれる、最高のヒューマンドラマです。
――読んでないなんて正直、勿体無いですよ?