概要
ここ、極寒の地で人々の生活を支えているのが、魔物と呼ばれる異形たちの毛皮や牙、爪などから作られる魔法具である。
魔物を狩り、魔法具を作るものたちは「職人」と呼ばれ、都市の外で村を作り暮らしていた。
シャトゥカナルに住む女性ライサは、身体の弱い従姉妹の代わりに職人たちが住む村スノダールへ嫁ぐよう命じられる。
未知の村スノダールで彼女を待っていたのは……思わぬ歓待とのほほん素朴な旦那様、そしてあるものを割る新生活!?
狐系クール女子×くまさん系おおらか男子。
これは夫婦が協力し、最高の温かさを作る物語。
※こちらの作品はアルファポリスにも掲載されています。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!氷雪に灯る温かな愛情を感じて
主人公の女性ライサはある事情から魔道具つくりの村に嫁入りすることになります。ところがそこには誤解があり……。しかしライサは村に残ることを決めます。村の男性ザックと夫婦となり、二人は魔法具職人として多くの人と交流するなかで、少しずつ自分の心も関係も変化していきます。
二人の性格は正反対にも見えますが、過去も含めてちゃんと噛み合っていくその経緯が素敵でした。自然をはじめとした厳しさのなかに、たしかに温かく灯る優しさがあります。その優しさを共に分かち合う過程が実に実直で丁寧でよかったです。
魔道具の設定や村の人々とのやりとりもとっても面白い!
後半はドキドキしながら読みましたが、読み終わって…続きを読む - ★★★ Excellent!!!求めた温もりは、氷雪の中に。凸凹夫婦が挑む、お仕事ファンタジー♡
極寒に加え、貧富の差が激しい都市の下層で暮らしていたライサ。肩身が狭い状況でありながらも親戚の家で粛々と薪割りの仕事をこなす彼女だったが、なんと従姉妹の身代わりとして嫁に出されることに。しかもその嫁ぎ先は、魔法具を作り出す職人たちが住むという謎の村で……?という、望まぬ結婚から始まるストーリーです。
しかし都市からは恐れられていたその村に辿り着いたライサを待っていたのは、思わぬ歓待。この婚約にたくさんの誤解があったことを知ったライサでしたが、いろんな事情から村に留まることを決めます。彼女の伴侶となるのは、赤い髪を持つ大らかな狩人ザック。慎重で心配性、大胆で気楽という正反対の凸凹夫婦の誕生で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!雪と氷に負けない、温かい夫婦へ
極寒の都市国家に住むライサは突然国の事情で知らない相手に嫁ぐ事になってしまいました。
その事情は勘違いによるものでしたが、ライサは自らの居場所や親戚の為に夫婦生活を続ける事を決めます。
健気なライサは応援したくなり、夫となったザックの朗らかさは癒やされます。
魔法具職人など、登場するファンタジー要素は幻想的かつしっかり世界観が造り込まれていて魅力的。
キャラクターの一人一人が活き活きしていて気持ちがほっこりしてきます。
辛い過去から素直になれないライサ、独善的なザックの決断。
温かい生活にも危機は訪れますが、それら困難を乗り越えて二人が素敵な夫婦になるまでの物語です。 - ★★★ Excellent!!!実直な夫婦の心温まる交流の物語
しっかりとしたファンタジーの世界観を構築しつつも、描かれるのは人々の交流。心の温もりです。
極寒の都市国家シャトゥカナルから物語はスタートします。とても寒い国なのだろうなあ、という描写がお見事。ビュウビュウと凍てつく様は、読んでいる者に畏怖すら与えます。
主人公ライサは、そんな国で働く実直な娘です。
けして愛想が良いわけでもないし、キラキラしているわけでもない。
そんな彼女は、半ば騙されるようにしてスノダールへ嫁ぐ事になります。
村人達の熱狂溢れる歓迎に、困惑するライサ。
彼女を待っていたのは煌びやかな、貴族の生活……ではなく。
一見、粗野にも見える青年ザックとの生活でした。
夫婦…続きを読む - ★★★ Excellent!!!極寒の世界に負けるな! 暖かさを二人と、そしてみんなで。
ここは極寒の世界。
両親を失い叔父の家で育ったライサは、育ててくれた家族に感謝しつつも、どこか居心地の悪さを感じています。
そんなある日、お役人がやってきてライサの従姉妹に命じます。魔法具職人へ嫁ぐようにと。
魔法具職人は「野蛮な人々」と偏見を持たれていて、決して条件の良い結婚相手とは見なされません。
ライサは従姉妹を守るため、自ら名乗り出て、代わりに嫁ぐと申し出るのですが……。
魔法具という、聞くだけでワクワクするアイテムと、それを作る材料となる魔物達の、なんと幻想的なこと!
材料ではあるのですが、単に道具として扱うのではなく、きちんと命あるものとして捉える魔法具職人さんたちの価値観も…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嫁入り先は、凍る雪世界に負けない温かい職人の村だった
親戚家族の中で肩身の狭い思いをしつつ薪割りをしていたライサは、身体の弱い従姉妹に変わって、職人の村に嫁ぐところから始まる今作。
このお話はとにかく、嫁入り先の人たちが皆いい人である。
職人たちは優しいかつ、世話やきながらも見守ってくれる人たちで、村長もまた芯の通った人。
また、ライサが嫁いだ男は、なかなかに豪快でクセの強い。けれど、読んだ人は「こいつはまじでどこにいても可愛がられるやつ」と確信するだろう。本当にいい奴である。
一章部分は、二人の出会いから二人の夫婦になるための初めての協同作業を書いており、その話の展開の面白さはすごい。
この難所をどう切り抜くのか、わくわくと読み進められた…続きを読む