寒さに負けない温かな村で送るセカンドライフの始まり!

親戚家族に冷遇されていたライサが義妹の代わりに嫁ぐことになったのは、魔法具職人の村スノダール。
魔物を狩って、素材を剥ぎ、人の役に立つ魔法具を作る。狩人の信念や物作りに対する考え方など、随所に感嘆するシーンがあります。そこに住む人々の暮らしや生活の描き方が丁寧で、心地良く読み込むことができました。

ヒロインのライサですが、見た目こそクール女子!という感じですが、本当は心根が優しい女の子。それが特に滲み出ているのが12話だと思います。親戚の家に預けられ肩身の狭い思いをしても、見捨てず育ててくれた叔父たちに感謝していると書かれています。自分が辛い目に合おうと、ほんのわずかな優しさを拾いこぼさない子なのです。たまにスノモリギツネのようなジト目を披露しますが、それすら愛らしく思えるくらい魅力的なヒロインでした。

この物語にはヒロインを徹底的に苛め抜くような完全な悪役はいません。ライサを冷遇していた親戚家族でさえ、善人の一面を持っています。嫁入りを前にライサに無理難題をふっかける村長のニーナにも、その裏に隠された思いがあります。だからこの物語は凍土を舞台にしていても温かいのかなと、率直に思いました。何より、ライサの夫になるザックの存在が心の暖房です。二人のやりとりを見ていると、身も心もポッカポカになります。

丁寧に作り込まれた独自の世界観が好きな方、人の温かさに触れる物語が読みたい方におすすめです。ぜひご一読ください!

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