実直な夫婦の心温まる交流の物語

しっかりとしたファンタジーの世界観を構築しつつも、描かれるのは人々の交流。心の温もりです。

極寒の都市国家シャトゥカナルから物語はスタートします。とても寒い国なのだろうなあ、という描写がお見事。ビュウビュウと凍てつく様は、読んでいる者に畏怖すら与えます。

主人公ライサは、そんな国で働く実直な娘です。
けして愛想が良いわけでもないし、キラキラしているわけでもない。

そんな彼女は、半ば騙されるようにしてスノダールへ嫁ぐ事になります。
村人達の熱狂溢れる歓迎に、困惑するライサ。

彼女を待っていたのは煌びやかな、貴族の生活……ではなく。
一見、粗野にも見える青年ザックとの生活でした。

夫婦となった二人。

二人はやっぱり華やかではありません。
実直で地味、そして魔法具を共に作るパートナー。
言葉も決して多くない。

けれども二人は、物作りを通して心を通わせるようになるのです。
小さな心の動きが、それは丁寧に描かれていました。
僅かなやり取りでも、二人の距離が縮まる様が伝わってくるのです。

外は極寒の地です。

その対比が良いんですよね。
読み手の心に温もりが宿るんです。

ラストは感動して、ちょっと涙ぐんでしまいました。

素晴らしい作品をありがとうございます💕






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