レビューを書きたいなと思ったきっかけが、2点あります。
1点目が、文章が綺麗だなと思った点です。
よるかさんの他小説もそうですが、言葉の使い方や文章の造りが、綺麗だなと思っています。書き手として羨ましいと思っています(´ω`)
とりわけ、地の文の書き方は、勝手に勉強させてもらっています……!
2点目が、(ミスリードあればすみませんが)微妙に解釈が難しいと思った点です。
今回の場合、主人公がフィアルであることは疑いのない事実だと思いますが、他方で、彼女を「紅き乙女」たらしめた魂(?)もまた主人公的キャラとなり得るのではないかと思いました。
この点、レビューとして稚拙な考察を書くのも憚れられるのであまり突っ込みませんが、もしよければそういった視点で読んでいただいても面白いのかもしれません!
以上、素敵な小説でしたので、オススメします〜☆彡
Meeka
世界を灼く宿命を背負った少女、フィアル。
百年に一度、裁可を下す――あまりにも酷であるが、逃げることなく向き合う彼女の芯の強さ、そして過去と『今』との間を揺れ動く気持ちは、宿命などではなく『人』である。
背後から何度も囁かれる理(ことわり)に抗おうと思えたのは、幼なじみのリミーナやシレイスの存在が大きいだろう。
特にリミーナは明るく元気な女の子で、ふたりのシーンは可愛く微笑ましい。
シレイスのまっすぐな思いもまた熱く純粋で、フィアルに染みこんでいくのは当然だと思える。
紅蓮の輪廻に繋がれた乙女は、その恋心で世界をどう変えていくのか。
是非ご一読ください。
リィンカーネーションという、輪廻にまつわる業を背負った少女、フィアル。
彼女は、全てを諦めきっていました。
そう、シレイスと出会うまでは。
紅き乙女――百年に一度、世界を焼き尽くす使命を命運を繰り返す存在。
冒頭部分、フィアルが記憶を取り戻すまでの描写がとても優しく、丁寧なだけに余計に辛いものがありました。
世界の人から見れば、彼女は敵なのかもしれません。
しかし
彼女は『紅き乙女』という役割をこなしているに過ぎないのです。
長い、長い輪廻の中で。
シレイスに恋心を抱いてから訪れるフィアルの心理描写、その繊細さは読む者を圧倒させます。彼女に背負わされた輪廻を共に追随するのです。
けれどもご安心ください。
ラストには、極上のハッピーエンドが待っています。
忌まわしき理も、きっとこの二人なら打ち破る事が出来るでしょう。
長編化が楽しみな作品です。
是非、切なく細やかな、この作品を読んでいただきたいと思いました。
身も蓋もない話ではあるが、未見の読者がいるのならば、まずは一言だけ残そうと思う。
自分の冗長なレビューなどは読まずに、下の一行のみを読んで物語の一頁目へと向かってほしい。
端的な言葉になってしまうが、タグを見て一瞬でも自身の好みに引っかかったのならば、本作のあらすじに目を通すべきだ。正しきタグ付けが行われており、良きあらすじが綴られていると感じた。
この物語は貴方との出会いを待っている。
せっかく見つけた物語を見逃すのは、勿体ない。
さぁ、頁を開こう。
――繰り返す、繰り返す紅い闇に囚われているように思えた。
だが、降り注ぐ日差しは暖かく感じ、夜の星は煌めいているように見える。
当たり前の事だ。陽が照りつけ、風がそよぎ、水面が揺れ、夜空に星が光る。
けれども、それらを綺麗だと思えるのは、今を生きているからなのだ。
恋をするのもまた同じ事。思い悩めどもまたそれも生の証。
運命は刻一刻と変わるものだが、それと同時に"変える"ものでもある。
死んで花実など咲くものかと、命が燃える音が聞こえたような気がした。
そんな読了感を抱ける本作は、現在開催中の『 世界を変える運命の恋』がテーマの中編コンテストに応募されている物語であるが、小説を書くという事についての筆者の向き合い方を考えさせられる。
作者が書いた物語は複数拝読した事があるので、そういった一読者の身から出る感想としては「また楽しませてくれた」という話に尽きるのだが、もう少し野暮に言葉を書き残しておきたい。
まず、最初に書いた通り、タグとあらすじで拾える情報が端的かつ分かりやすい。
特にタグはしっかりと裏切りが無い物で固められており、あらすじも設定が決して薄っぺらでは無い事が伝わってくる。
文体についても好みこそあれどネット小説に於ける一般水準は軽く越えている。とはいえそのような事は読めばすぐに分かる事だ。
一番目を見張ったのは、誰に向けて書いているかという点だ。
作者の小説を複数作読んだと前述したが、それら全てが所謂テンプレートを取り外し、尚且つ作者独自の世界観を醸し出していた。それは今回も間違いない。
ただ、今回はタグの通り、女性読者へのアプローチ、ターゲッティングをよりハッキリと定めているという印象を覚えた。とはいえ男性読者である自分も楽しんで読む事が出来た。
本作がコンテストに応募しているという一面が強いのだろう。コンテストの応募要項がある以上 "求められている暗黙のルール" の中で全力を出すという事が求められる。
創作者には、時にそれらを正しく読み取る力も必要なのだ。
もし本作を読み終わったならば、普段小説を書かない読者の方も2023年10月時点で本作が応募している『世界を変える運命の恋 中編コンテスト』の応募要項を読み取り、本作と照らし合わせてみてはどうだろうか。
文章を書くという行為の難しさや、本作の質の高さがより手に取るように伝わるはずだ。それは本作を通した、ある意味での人生経験になるようにも思える。
そういった読み方もまた面白いだろうと感じたのは、それもまた作者の実力あってこそだ。何故ならば一読者として「筆が乗っていないな」と感じる事が無く、付け焼き刃では無いちゃんとした作者の味が出ているからこそ、勧められるのだ。
ルールの上で、読者を楽しませ、もっと言えば作者すら楽しんで書く、そういった事をやってのけているであろう本作には、大きな意味、意義を感じてならない。
コンテストのルールと向き合う、読者と向き合う、物語と向き合う。
そうして、作者は自分と向き合っていく。
良き物語であり、正しき物語であった。
そうして良き挑戦であり、正しき一歩だった。
願わくば、作者の子と呼べる物語の登場人物達にも、そうして作者にも、明るく綺麗な祝福の鐘の音が鳴り響けば良い。
そんな事を思いながら、この長文を締めくくらせてもらおうと思う。
思わず、筆が乗ってしまった。
笑える話だ。ある種、小さく小さく、自分の運命すら変えられたのだ。
さぁ、物語に恋をせよ。
百年に一度世界を灼く宿命を背負った紅き乙女が、とうとう目覚めてしまった。修道女フィアルにはそれまで生きた十八年間の自分と、紅い世界の記憶が入り混じる。大好きなリミーナと、最愛の人シレイス。何気ない大切な日常を灼き尽くす運命の日が、すぐそこまで来ている。
「なぜ世界を灼かなければならないのか」
フィアルが生きる世界が美しく尊く描かれているからこそ、どうか思いとどまってほしいと願わずにはいられませんでした。それまで平凡に生きて来たフィアルという少女と、突如目覚めた抗いようのない宿命。二つに分断されそうなほど揺れ動く心の動きをまざまざと見せつけられ、感情がぐっと引きずり込まれます。
「運命」そして「恋」。この壮大なテーマに負けないスケールの大きい世界観を、ぜひ体感していただきたいです。
主人公は教会で暮らしている修道女、フィアル。
友人であるリミーナと共に修道女として日々を過ごしていたフィアルは、ある日突然、紅き乙女である自身の宿命を思い出してしまう。
世界を繰り返す為に、百年に一度世界を灼き、終わらせなければいけない。
その宿命を受け入れながらも、フィアルは思い悩んでしまいます。
自分の宿命を自覚しながらも、世界や好きな人との触れ合いによって揺れ動く主人公の気持ちがとても繊細に書かれていて、一体この先彼女はどうなってしまうのだろう、とドキドキして読み進めてました。
世界の情景やそこで暮らす人々とのやりとりも丁寧に書かれているので、こんな素敵な世界や人々を消してしまうのは辛いだろうな、と主人公の気持ちを思わず考えてしまいます。
そんな彼女がどう運命を変えていこうとするのか。
ぜひ読んで見て欲しい素敵なお話です!
この世界は灼かれる運命にある、誰もそれを知らずとも。ただ、その運命に繋がれた紅の乙女だけが知っているのだとしても。
紅の乙女として目覚めたフィアルは、どこかその宿命と「フィアル」という個の間で揺蕩っていたようにも思える。
彼女の周りの世界は優しい。誰も、彼も、彼女に笑う。
もっと世界が過酷なら、残酷なものなら、きっと苦悩はなかったのだろう。
それでも彼女は剣を手にする。
世界を灼くために。そしてある人をその前に殺すために。
彼女の剣の先は鈍るのか。
揺蕩う彼女を目覚めさせ、己として確立させるのは誰なのか。
きっとこの恋は世界を変えるのでしょう。
灼かれる運命にある世界の先は、紅の乙女の行先は。
ただ彼女を抱きしめて、幸いあれと願わずにはいられないのです。
ぜひご一読ください。