灼かれる運命の世界を救うのは、恋なのかもしれない。

百年に一度世界を灼く宿命を背負った紅き乙女が、とうとう目覚めてしまった。修道女フィアルにはそれまで生きた十八年間の自分と、紅い世界の記憶が入り混じる。大好きなリミーナと、最愛の人シレイス。何気ない大切な日常を灼き尽くす運命の日が、すぐそこまで来ている。

「なぜ世界を灼かなければならないのか」
フィアルが生きる世界が美しく尊く描かれているからこそ、どうか思いとどまってほしいと願わずにはいられませんでした。それまで平凡に生きて来たフィアルという少女と、突如目覚めた抗いようのない宿命。二つに分断されそうなほど揺れ動く心の動きをまざまざと見せつけられ、感情がぐっと引きずり込まれます。

「運命」そして「恋」。この壮大なテーマに負けないスケールの大きい世界観を、ぜひ体感していただきたいです。

その他のおすすめレビュー

貴葵 音々子さんの他のおすすめレビュー253