精霊の愛から始まった不遇を断ち切るのは、一人の男による過剰すぎる溺愛。

夢見の精霊ルートリの愛し子として生を受けたリリアを待ち受けていたのは、母親である王妃からの冷遇。本来は持ちえない愛し子としての資質と両親とは違う髪と目の色が原因で、王妃が周囲から不貞を疑われたせいだ。
実の母親から疎まれ、離宮に押し込められたリリアを影ながら見守っていた者がいた。四大公爵家の一つであるパルディア家の嫡男、ノエである。
彼の家は風の精霊ウェルディアと契約している一族で、その力によって王国中の情報を網羅している。そう、外の世界から徹底的に断たれたリリアの離宮だろうと、ノエには全てお見通しなのである。


精霊の力を存分に使ったストーカー……いや、溺愛ヒーローであるノエの言動に終始楽しませていただきました。リリアと同じく「ナニヲイッテイルノ?」と何度言わされたことか……! 隔離されていたせいで世間に疎く天然なリリアだからこそ受け入れてくれた過剰すぎる溺愛に完敗です。ノエ、絶対幸せにするんだぞ……!

精霊との契約を題材にした世界観ならではのワクワクもあり、人の業や思惑が複雑に入り組んでいるのも本作の魅力の一つです。そもそもなぜリリアはルートリから愛し子に選ばれたのか。その謎を何も知らない彼女と一緒に紐解いて行けば、きっとノエの存在がかけがえのないものに思えるはずです。ぜひ、ご一読あれ!

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