重い過去にも立ち向かっていく。心に触れるバトルファンタジー!!

  • ★★★ Excellent!!!

 荒魂という怪物の特殊性として、荒魂によって失われた人に関する記憶を、生き残った人も失うという要素があるのですが、主人公たちのように荒魂に対抗出来たり認識が出来るレベルだと、記憶を失う事はないという。
 この「大切な人を失ったという記憶を忘れられない」ところが、主人公たちにとって辛いところですが、でもその辛さがああるからこそ、立ち向かっていける強さに繋がっているという設定のバランス感覚がすごい!

 戦闘シーンは周辺に意識を広げて敵を認知する《調》だとか、自分や周囲に影響する《動》、武器の生成の《造》を切り替えながら使いこなすところ、アクションゲームにしたら面白そうだし、そのような能力を駆使したバトルシーンはとにかくカッコイイし、新しい使い方を模索したりの成長要素もたまらない。

 そして敵の出る時期が新月と決まっているので、それ以外は日常のパートとなるのですが、そちらの青春だとか恋愛だとかのエピソードがとても良い。ただのバトルの休息シーンではなく、戦う彼らの苦悩だとか戦う意味だとかも織り交ぜながら、次の戦いに繋がる要素となっていく。

 主人公を含め登場人物が小気味いいというか、こういう人達って素敵だなと思える人ばかりなので、頑張れと応援しながら読んでしまうかも。

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