概要
カタツムリって、恋とかすんのかな
幼なじみである湊那兎の家に泊まった夜、私の隣で哀切な水音がした。
吐息混じりに聞こえてくるその音に、私はドキドキしながら寝たフリをし続けた。
それから三年が経って、またいつも通り湊の家に遊びに行ったときのことだった。
夜になり互いに寝付いたころ、あのときの水音がまた聞こえた。
何かを求めるよう必死に鳴きながら、私の袖をギュっと握って離さない。
振り返って、「ねぇ、何してるの?」って聞いてやろうと思った。顔を見ながら「なんで、私の袖握ってるの?」って、追い詰めてやろうと思った。
でも、それはできなかった。
「カタツムリって性別ないんだって」
梅雨の時季になると、ふと思うのだ。
あんな風にドロドロと生きることができたなら。
私も湊の方へ振り向いて、同じように水音を響かせるのに。
もしかしたら
吐息混じりに聞こえてくるその音に、私はドキドキしながら寝たフリをし続けた。
それから三年が経って、またいつも通り湊の家に遊びに行ったときのことだった。
夜になり互いに寝付いたころ、あのときの水音がまた聞こえた。
何かを求めるよう必死に鳴きながら、私の袖をギュっと握って離さない。
振り返って、「ねぇ、何してるの?」って聞いてやろうと思った。顔を見ながら「なんで、私の袖握ってるの?」って、追い詰めてやろうと思った。
でも、それはできなかった。
「カタツムリって性別ないんだって」
梅雨の時季になると、ふと思うのだ。
あんな風にドロドロと生きることができたなら。
私も湊の方へ振り向いて、同じように水音を響かせるのに。
もしかしたら
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