概要
ネーデルラント(現在のオランダ辺り)でも富裕なロズウィック家の令嬢でありながら、「令嬢失格」の烙印を押され、一人の求婚者もいないフェリエナ。
ある夜、兄とともに出席した舞踏会で、フェリエナにダンスを申し込んだのは、金の髪に群青の瞳の美青年、アドルだった。
ダンスの後、二人で出たテラスで、真っ直ぐにフェリエナを見つめ、アドルは告げる。
「フェリエナ嬢。どうか、わたしと結婚してくださいませんか?」
お互いに事情を抱える青年領主と脱落令嬢の、すれ違い満載の、じれじれ両想いな結婚生活の行方は⁉
~作者の独断による五段階(?)評価~
読みやすさ ★★★★☆
すれ違い度
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!どうか、二人には、結ばれて、今年の冬を越してほしいと祈る作品です
名家の出だけれども、「修道女殺し」という謎の言葉を投げつけられて社交界で恐れられ、縁談も来ないまま壁の花をしているフェリエナ。そんな彼女に結婚を申し込んだのがとんでもない美貌の青年、アドル。
二人はお互いが抱えている事情を秘めたまま、結婚するけれど……。
何よりすてきだなと思ったのが、アドルとフェリエナの「真摯さ」です。特にアドルは真摯です。ある事情からフェリエナと夜を共にするのを避けているのですが、その理由が真摯の極みで、ほっこりしました。
また、やっぱりすてきだなと思ったのが、フェリエナの特技。まさかのまさか~!!! 今回、この作品で真面目にその植物の花を調べたのですけど、本…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヒーロー視点と心情が多くて、安心感がありました!
とても丁寧に紡がれたお話で、表現が綺麗でうっとりしました。
ヒロインさんがピュアな乙女!
心情がすごく初々しくて、初恋感というのでしょうか、ドキドキがすごく伝わって顔がにやけてしまいますっ。
それと、ヒーローさんが最初怒鳴ったりしてヒロインを悲しませるような、誤解されたり、好感度低くなっちゃうようなキャラなのですが(すれ違い、勘違い系の冷遇ヒーロー?)
ストレスを緩和するヒーロー視点がとても多くて、読者側が「これはあくまですれ違いで、矢印はしっかり向いてる」ってわかってて、安心して読めるのがすごく良いところじゃないかなって思うんです。
あと、読者はヒーローの気持ちがわかってるけど、ヒロイ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!無垢な、いや初心な善男善女は(読者からも)祝福される、と言う物語です。
コメディ色を出すには、登場人物の掛け合いが、言ってる本人は至極真面目なのに、何故か相手に曲解されてしまう。そんな会話の想像力が必要です。漫才師で例えると、アンジャッシュ。
本作品の主人公ペアは勘違い漫才を見事に演じており、先週末のM1より遥かに面白い。
主線は男女が距離を詰める恋愛物語なのですが、コメディ色を帯びているので、高橋留美子先生の「めぞん一刻」に雰囲気が似ている。
読者は「おいおい」と呟きつつ、焼きもきしながら楽しめる、そんな作品です。
10万字では物足りないので、番外編ではなく、「その後」をしっかり書いて欲しい気がする。(番外編はこれから読みます)
それだけの奥行を秘めた作品…続きを読む - ★★ Very Good!!パタタは世界を救う
いわくつきの娘フェリエナと貧乏領主アデルの、ある意味政略結婚のはずがお互い恋に落ちて、すったもんだのあげくパタタが世界を救ったという、壮大なラブストーリー(どこまでホントだ?
本当ならばすんなり展開していきそうな物語も、作者様の得意技、『すれ違い』と『じれじれ』と『アマアマ』が炸裂して、簡単にはハッピーエンドを迎えられません。
おまけにアデルが貧乏であるが故……
だからこそ、パタタなんです。
嗚呼、パタタ……悪魔のようなそのお姿……
フェリエナとアデルの愛とパタタが世界を、いやヴェルブルク領を救うのです!
~読者の独断による五段階評価(超えてるやん)~
フェリエナのいわく…続きを読む - ★★★ Excellent!!!柱の影からこの二人をじっと見守っていたい……そんな気持ちになる物語
金髪でイケメンだけど貧乏貴族のアデル。
修道女殺しの異名をもつ貴族の娘フェリエナ。
この二人が結婚するところから物語は始まるのですが、どうにもこうにもすれ違いと勘違いが嵐のように吹き荒れます。
もちろん物語の中の当人たちは真面目ですし、必死ですし、ホント二人ともいい奴、可愛い娘なんです。
なのに「どうしてこうなる?」という裏目になってばかりの展開が目白押しで、はたで見ていると立派なコメディーのように仕上がっています。
この悪夢のような喜劇のようなドラマは、作者という神に翻弄されっぱなしで、とにかく読むのが楽しい!
作者の意地悪な笑顔さえ想像できるようです。
ですがそれだけで終わらないと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!強くて優しい恋物語
「修道女殺し」の烙印を押された令嬢フェリエナ。彼女の持参金目当てに結婚を申し込む青年領主アドル。
思惑をよそに惹かれ合う二人は、お互いを思う優しさゆえにすれ違う……。
とにかく主人公二人の心情描写が素晴らしく、手に取るように状況がわかるため、ジレジレ度も一入でした。
舞踏会の雰囲気、それに反して困窮する領土、はたまた戦の風景まで、とても丁寧に描かれていて、ぐっと物語に厚みを持たせておられ、筆力の高さが圧巻です。
魅力的なキャラの造形、飽きさせないエピソード、問題勃発と解決、どの伏線も見事に回収され、読後感も非常に良い作品です。
すらすらと読める文体なので、一気読みをおすすめします。
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