どうか、二人には、結ばれて、今年の冬を越してほしいと祈る作品です

 名家の出だけれども、「修道女殺し」という謎の言葉を投げつけられて社交界で恐れられ、縁談も来ないまま壁の花をしているフェリエナ。そんな彼女に結婚を申し込んだのがとんでもない美貌の青年、アドル。
 二人はお互いが抱えている事情を秘めたまま、結婚するけれど……。
 
 何よりすてきだなと思ったのが、アドルとフェリエナの「真摯さ」です。特にアドルは真摯です。ある事情からフェリエナと夜を共にするのを避けているのですが、その理由が真摯の極みで、ほっこりしました。
 また、やっぱりすてきだなと思ったのが、フェリエナの特技。まさかのまさか~!!! 今回、この作品で真面目にその植物の花を調べたのですけど、本当に可愛らしい……。
 そして、そのフェリエナの特技こそ、アドルが望んでいたものであるのも、非常に面白かったです。

 ただ。このアドル、裏目度がすごいのです!お互いがお互いを想う故に起きてしまうズレ。このズレが……じれじれしたり、もだもだしたり、もうお前ら夫婦だろ!!!とか思ったり……。そんなアドルのことを想いすぎるフェリエナの、心が軋むほど痛い気持ちが伝わってきたりして。
 そんな中で提示される、提示されるアドルの領地の宿命と、フェリエナの重い過去。

 どうか、二人には、結ばれて、愛し合って、今年の冬を越してほしい。そう願いながら、最後まで読み通してしまいます。
 じれじれもだもだの愛をお求めの方におすすめの作品です!
 

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