無垢な、いや初心な善男善女は(読者からも)祝福される、と言う物語です。

コメディ色を出すには、登場人物の掛け合いが、言ってる本人は至極真面目なのに、何故か相手に曲解されてしまう。そんな会話の想像力が必要です。漫才師で例えると、アンジャッシュ。
本作品の主人公ペアは勘違い漫才を見事に演じており、先週末のM1より遥かに面白い。

主線は男女が距離を詰める恋愛物語なのですが、コメディ色を帯びているので、高橋留美子先生の「めぞん一刻」に雰囲気が似ている。
読者は「おいおい」と呟きつつ、焼きもきしながら楽しめる、そんな作品です。

10万字では物足りないので、番外編ではなく、「その後」をしっかり書いて欲しい気がする。(番外編はこれから読みます)
それだけの奥行を秘めた作品だと思う。

この作品を気に入った方には都月きく音氏の「公爵様と家庭教師」を薦めたい。近世初期の架空欧州を舞台にしたラブコメです。こっちは男性側が終始リードするので、五十嵐ゆみこ先生の「キャンディキャンディ」に近いが、読み比べもカクヨムを楽しむ一つの方策です。

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