流転～ツインレイ～

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（493文字）

　微笑ましい幸せ……そんな何処にでもある日常から運命に翻弄されることになる家族の壮大な物語たる本作。

　輪廻転生や人の業を人間目線とは別の天使視点としても描き、過酷な運命に立ち向かう心の強さが描かれた名作でもあります。

　純粋な願い、生きる意味、家族の絆……そして生命の連鎖と未来。これらを見事に描き綴っているのは流石です。『小さき者達の世界』を使うのもまた斬新だと思いました。


　作中、これでもかと不幸が続きますが全て実際に起こり得るものであり過剰ということもないリアルさ。輪廻を描きつつ宗教色が強いことはない分かり易い演出、何より純粋に物語として引っ張られる魅力があります。

　この…続きを読む

母親と帰宅途中に交通事故に遭いながらも、死ぬ運命ではなかった少女、サチコ。

運命の悪戯によって、母親に宿る胎児の代わりにサチコはこの世を去ることに。大好きな母親に未練を残すサチコを不憫に思った天界の神官は、転生するチャンスを与えます。しかし、サチコが目覚めたのは人間界ではなく、生存競争の激しい昆虫の世界でした。

ミツバチとして生まれ変わったサチコ。弱肉強食の世界で生き残るのも大変なのに、神官からは更に無理難題な試練が科せられて…？

とにかく発想が大胆で、面白いです。目の付け所が他と違うというのは、作家の資質としては一番重要なのではないかと思います。優しく語りかけるような文体も心地よく、…続きを読む

輪廻転生して巡り逢う――
母子の絆の深さを感じました。
もしかして、わたしの家族も、転生前に縁があったのかもしれない。
そんなことを考えました。
ミツバチのシーンのところでは、「補足」で様々な知識が書かれており
わたしはそれが結構好きでした。

主人公が不幸な死を迎える→神様や天使などが出てくる→いろいろ相談の上、異世界転生する
という様式美はそのままに、転生したら…まさかの元の世界！？
そう、この『異世界転生』の先は昆虫界。なるほど、たしかに現代の中の異世界です。
前世の行いに応じて、人や畜生など新たな生を得る。輪廻転生は、古くから用いられてきた異世界転生モノでもあるのですね。

昆虫の世界のことも詳しく書かれていて「わぁ、そういえば昔、生物で習ったな〜」などと懐かしくもあり、楽しく読ませていただいています。
子供から見た昆虫の世界は、大人から見たのとは違って、そしてまた昆虫たちから見るのも大きく違うのでしょう。

そんな虫たちの…続きを読む

最新話まで読んだところでレビューさせていただきます。

本作を一言で表現するのは不可能です。今のところ三部構成となっているのですが、一部の時点で三部を予想した人は一人もいないだろうと断言できます。それとなく、伏線のようなエピーソードはあるのですが、まさかそれが驚愕の三部に繋がっているなど誰に思いつくでしょうか。

ストーリー的にはミステリー的な要素を感じさせつつ始まり、主人公に不幸があるという展開です。現世に未練を残す主人公が試練を乗り越え、目的を達成していくという表向きは王道と呼べるものでしょう。
しかし、前述したように主人公の試練はとんでもないもので、読者は一様に唖然とさせられること間違…続きを読む

一味も二味も違う「異世界転生」が、こちらの作品です！

まだ幼い主人公・サチコは、死神のミスで誤って死んでしまいます。
サチコには、再び母のもとへ転生するための試練が与えられます。
その試練とは、なんとミツバチになって蜜を集めること…!?

異世界（＝昆虫界）での、サチコの厳しい毎日が始まります。
昆虫の世界は知らないことばかりで、毎日が驚きの連続。
よき先輩ミツバチに恵まれたサチコは、試練のための蜜を集めながら、昆虫界・自然界の数多くの知恵と厳しさを学んでいきます。

揺るぎない親子の愛。自然を生き抜くための知恵と勇気と思いやり。
読者もサチコと一緒に多くのことを体験し、学んでいくことでし…続きを読む

デスエンジェルのミスにより死ぬ羽目になった主人公のサチコ。
下界に戻るためには試練が与えられます。
ただ別の肉体に魂を入れられ、下界に戻っても誰からも気づかれないかもしれない。
それでもママの近くにいたいとサチコは受け入れます。
そしてミツバチに転生してしまったサチコに訪れる試練とは……。

物語の序盤はサチコの悲しい運命の話が続きます。
天界のミスなんだから無条件で生き返せ！と思いますが、これもサチコの為に何か重要な意味を持っているのでは……？と気になる内容。

サチコの努力がどのように報われるのか、それともハッピーエンドとはならないのか、ストーリーが非常に楽しみな作品です。

悲しく、可…続きを読む