家族の絆と過酷な運命が綴られる輪廻の世界──生きることの意味を問う名作


 微笑ましい幸せ……そんな何処にでもある日常から運命に翻弄されることになる家族の壮大な物語たる本作。

 輪廻転生や人の業を人間目線とは別の天使視点としても描き、過酷な運命に立ち向かう心の強さが描かれた名作でもあります。

 純粋な願い、生きる意味、家族の絆……そして生命の連鎖と未来。これらを見事に描き綴っているのは流石です。『小さき者達の世界』を使うのもまた斬新だと思いました。


 作中、これでもかと不幸が続きますが全て実際に起こり得るものであり過剰ということもないリアルさ。輪廻を描きつつ宗教色が強いことはない分かり易い演出、何より純粋に物語として引っ張られる魅力があります。

 この物語は大人にも子供にも読んで欲しいです。きっとその心には大切な何かを残してくれる……そんな気がします。

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