概要
──アイルトン・セナ──
F1史上最速との呼び声も高いレーサーながら、危険な走法で
「いつか事故るぞ」
と言われ続け、最期はまさにレース中の事故で非業の死を遂げた天才。
そのアイルトン・セナに喩えられるほどのスピード解決と
僅かな違和感から「こいつだ」とまるで決め打ちかのように行う
捜査手法が「いつか事故るぞ」と思われている様から、
『捜査一課のアイルトン・セナ』の異名を取った女、千中高千穂、
階級は警部補。
お供の冴えない小男松実士郎を引き連れて、
今日も彼女はあらゆる犯人たちのトリックを看破する。
バディもの倒叙ミステリー、開幕。
※『小説家になろう』でも連載しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!犯人たちよ、震えて眠れ
その昔、知人から「ミステリー系で、なにか面白いドラマない?」と訊かれた私は、そこで迷わず『古畑任三郎』を勧めました。
そのドラマは犯人の視点から事件の一部始終が描かれる推理物で、そういった形式のものを界隈では「倒叙ミステリー」と呼んだりもします。
本来ならば最後に明かされるはずの犯人が、倒叙ミステリーにおいては、犯行に及んだ動機からその手口に至るまで、最初から全ての情報が明らかとされた状態で物語が進行するのです。
一般的な「犯人当て」のミステリーとは違う、その独自の面白さを知人に力説する私。それに対し、さしてミステリーに思い入れのないその人は、こんな言葉を口にしました。
「犯人が最初…続きを読む - ★★★ Excellent!!!微かな違和感も逃さない!それが高千穂の信条!あなたの逃げる道は無い!
事件現場に訪れる「千中高千穂」と冴えない小男「松実士郎」のバディもの倒叙ミステリー。
殺人現場に愛車のベスパに乗って颯爽と訪れる警部補の高千穂。
現場の遺留品や、第一発見者の言動に目を光らし、僅かなほころびや違和感を見逃さない。その様は、まるで古畑〇三郎を彷彿される手腕。古畑をリスペクトした本作は、アリバイ崩しを、まるで真綿で首を絞めるように犯人を追い込んでいく。
理不尽な殺人にも、垣間見える人間ドラマ。犯人に同情の余地はあるのだろうか?
高千穂の推理は、貴方の名推理をきっと凌駕するはずでしょう……。
スリリングな展開に、貴方は、きっと息を飲んでしまうだろう! - ★★★ Excellent!!!追い詰められる緊張感が味わえる 此処に倒叙ミステリーの傑作あります!
犯人側視点で話が展開する倒叙ミステリー。
この作品も犯人が殺人を犯し、アリバイを築いた後から物語は始まります。
しかし、この作品の犯人達は運が悪かったですね…。
「捜査一課のアイルトン・セナ」と呼ばれるスピード解決を得意とする、凄腕女警部補にロックオンされましたから。
彼女の鋭い観察眼、徐々に崩されていくアリバイ。
読んでいて、こちらが追い詰められていく犯人に感情移入してしまうほど、千中高千穂の捜査は華麗な速さで事件を解いていきます。
いや、本当に同情の余地がある犯人には、これ以上止めてあげてー!ってなりますよ、高千穂さん!
常に笑いあり、時に涙あり。
最終話は特に必見!
是非、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!忙しい毎日でも本格ミステリー小説を読みたい方へ
ミステリーが読みたくても平日に読書にあてられる時間が一時間程度だと、長編ミステリーの場合、週末にラストまで読んだときには序盤の伏線が記憶から飛んでいた、なんてこともあります。
が、本作は短編を集めたミステリー。といっても短すぎず、推理を楽しめて満足感のある長さです。
最初のエピソード「一杯の不覚」は、自分の残したコメント時間を見ると、1時間足らずで読んだようです。
1時間で没頭できる本格ミステリー、魅力的だと思いませんか!?
ほかにもおすすめポイントはあります。
それは主人公の警部補『高千穂』と、彼女の部下『松実』の会話劇の面白さ。
高千穂の人を食ったような態度は犯人を苛立たせますが、…続きを読む