【書籍化】得体の知れぬ数多の怪異譚。妖しむも良し、“解く”も良し―― 東亮太
書籍化決定しました!
2023年8月2日発売。税込1980円です。書き下ろしエピソードも複数あり。
よろしくお願いいたします!
また6月19日夕方より「書籍化記念特別編」と題して、新たな章の連載を開始します。これを読めば、書籍版とウェブ版の違いが分かる……かも?
(特別編はアクセスしやすいように本編より前に配置しますが、本が発売されて少し経ったら、最下部に移動させる予定です。)
※全編終了しました。またすべてのエピソードを話数順に並べ変えました。
話数順不同で送る現代怪異譚――として公開してきましたが、ここで手の内を少しだけ明かします。
実は、ここに集められたすべての怪異には、どれも明確な「得体」が存在しています。ただし文字に起こすに当たって、意図的にその「得体」を伏せさせていただきました。
人は昔から、怪しい出来事に遭遇すると、必ずその「解釈」を試みてきました。解釈と言っても、必ずしも現実的な視点は必要なく、幽霊・狐狸・神仏といった「答え」が多数生まれました。
しかし逆に言えば、そうした「解釈」をすべて削ぎ落した話こそが、「怪談の原石」と呼べる……と僕は考えています。
この『夜行奇談』では、そんな「怪談の原石」にこだわった描写を目指すとともに、一方で「解釈する楽しみ」のご用意もさせていただきました。
純粋に怪異を妖しむも良し、得体を解き明かすも良し――。どちらの楽しみ方もできるよう、心がけております。
最終的な「答え」は最後に明かしていますが、まずは純粋に本編から、現代に息づく怪異の物語をお楽しみくださいませ。
※レビューありがとうございます。お礼は近況ノートの方に書かせていただいております。…続きを読む
目次
完結済 全233話
更新
- 書籍化記念特別編
- 特別編・第一話 写真
- 特別編・第二話 喫茶店
- 特別編・第三話 猫爺さん
- 特別編・第四話 地下売り場
- 特別編・第五話 逆さま
- 特別編・第六話 答え合わせ
- 特別編・最終話 妖怪画家
- 特別編・あとがき
- 夜行奇談
- はじめに
- 追記 「解く」ための手引き
- 前編
- 第一話 切り株
- 第二話 子さらい
- 第三話 おーい
- 第四話 秋山の怪
- 第五話 一度きりの話
- 第六話 早朝に歩く
- 第七話 猫の視点
- 第八話 沼
- 第九話 学ぶ男
- 第十話 ぺろり
- 第十一話 盆踊り
- 第十二話 これがいい
- 第十三話 裂ける
- 第十四話 幼馴染の話
- 第十五話 シールの女
- 第十六話 雪山の灯
- 第十七話 ライター
- 第十八話 樹の上に
- 第十九話 夜道の自転車
- 第二十話 石油ストーブ
- 第二十一話 猫と伯父
- 第二十二話 怪音
- 第二十三話 子育て
- 第二十四話 波の静かな夜に
- 第二十五話 下校放送
- 第二十六話 ありふれた怪異
- 第二十七話 駅の視線
- 第二十八話 欠けていく
- 第二十九話 子宝館
- 第三十話 親心
- 第三十一話 災厄の家
- 第三十二話 裏返し
- 第三十三話 冷凍室
- 第三十四話 二人いる
- 第三十五話 一人だけ
- 第三十六話 花火の夜に
- 第三十七話 上り坂に
- 第三十八話 実名検索
- 第三十九話 通り道
- 第四十話 古墳
- 第四十一話 真っ黒
- 第四十二話 隣の仏間
- 第四十三話 関わるな
- 第四十四話 訪ねてきたもの
- 第四十五話 モウサン
- 第四十六話 糸玉
- 第四十七話 寺に出るもの
- 第四十八話 日が悪い
- 第四十九話 ぐるぐる巻き
- 第五十話 川面に映ったもの
- 第五十一話 不可解な話
- 第五十二話 夕間暮れ
- 第五十三話 勝手口から
- 第五十四話 山道で遭ったもの
- 第五十五話 炎天の下で
- 第五十六話 閉ざされたプールに
- 第五十七話 混線
- 第五十八話 金曜日の誘い
- 第五十九話 婚約
- 第六十話 住職の話
- 第六十一話 穴
- 第六十二話 未練
- 第六十三話 光る恋人
- 第六十四話 最上階の住人
- 第六十五話 新スポット
- 第六十六話 砂浜に
- 第六十七話 忘れ火
- 第六十八話 どう見ても
- 第六十九話 こっちこっち
- 第七十話 墓石
- 第七十一話 スイッチ
- 第七十二話 ある後日談
- 第七十三話 スーツケースの女
- 第七十四話 スーツケースの怪
- 第七十五話 お供え物
- 第七十六話 足りない
- 第七十七話 風船
- 第七十八話 ください
- 第七十九話 撒き餌
- 第八十話 ぽとり
- 第八十一話 駅のトイレ
- 第八十二話 雨の日に
- 第八十三話 下がる男
- 第八十四話 顔の無い人形
- 第八十五話 ドアを叩く
- 第八十六話 嫌な部屋
- 第八十七話 ベランダにいたもの
- 第八十八話 ベランダで囁くもの
- 第八十九話 忌み山
- 第九十話 祖父と焼かれたもの
- 第九十一話 添い寝
- 第九十二話 フェンス
- 第九十三話 食べられた
- 第九十四話 怪病院
- 第九十五話 笑顔が迫る
- 第九十六話 五円玉
- 第九十七話 幽霊の絵
- 第九十八話 砂
- 第九十九話 仰向け
- 第百話 真相
- 第百一話 スクリーン
- 第百二話 モウサン、再び
- 第百三話 見知った顔
- 第百四話 お母さん
- 第百五話 夜明けまでは
- 後編
- 第百六話 漂う家
- 第百七話 朝ですよ
- 第百八話 笑う怪
- 第百九話 赤い村と、赤くない館
- 第百十話 移り香
- 第百十一話 雑木林の思い出
- 第百十二話 オシルシ
- 第百十三話 炎の中に
- 第百十四話 異国よりの報せ
- 第百十五話 死してなお
- 第百十六話 居座る
- 第百十七話 窓の汚れ
- 第百十八話 ヘビコさん
- 第百十九話 二〇三号室の怪
- 第百二十話 気がある
- 第百二十一話 カーテン
- 第百二十二話 誘われた
- 第百二十三話 熱狂
- 第百二十四話 満車
- 第百二十五話 赤色灯
- 第百二十六話 アオ××サマ
- 第百二十七話 降る
- 第百二十八話 笠のボンさん
- 第百二十九話 W
- 第百三十話 おててつないで
- 第百三十一話 牛がいる
- 第百三十二話 廃屋の少女
- 第百三十三話 夢の中で
- 第百三十四話 つかまれた
- 第百三十五話 マフラー
- 第百三十六話 暗闇で触れたもの
- 第百三十七話 ラクガキさん
- 第百三十八話 形見の石
- 第百三十九話 落ちた
- 第百四十話 給湯室のおじさん
- 第百四十一話 ある都市伝説
- 第百四十二話 岩の上に
- 第百四十三話 庭女
- 第百四十四話 テラリウム
- 第百四十五話 覗くもの
- 第百四十六話 珍獣
- 第百四十七話 見ている
- 第百四十八話 悪い水
- 第百四十九話 雪化粧
- 第百五十話 前を行くもの
- 第百五十一話 通勤ラッシュ
- 第百五十二話 真夜中の出来事
- 第百五十三話 滝の音
- 第百五十四話 魔が除ける
- 第百五十五話 秘密基地
- 第百五十六話 七人迎え
- 第百五十七話 人がいる
- 第百五十八話 迷惑メール
- 第百五十九話 栄冠
- 第百六十話 いたずら
- 第百六十一話 水草
- 第百六十二話 異久那土サマ
- 第百六十三話 八番目の不思議
- 第百六十四話 焼けた部屋に
- 第百六十五話 指差す先に
- 第百六十六話 傘
- 第百六十七話 自販機の下に
- 第百六十八話 子犬
- 第百六十九話 すり替わる
- 第百七十話 部活動三題
- 第百七十一話 サドル
- 第百七十二話 一輪車
- 第百七十三話 神隠しの山
- 第百七十四話 怪光
- 第百七十五話 玩具箱
- 第百七十六話 タトゥー
- 第百七十七話 書くな
- 第百七十八話 ごみ屋敷
- 第百七十九話 夕暮れの琴
- 第百八十話 音楽堂の怪
- 第百八十一話 学習塾の話
- 第百八十二話 神隠しの行方
- 第百八十三話 どこかで鳴る
- 第百八十四話 モーニングコール
- 第百八十五話 寝るな
- 第百八十六話 カリカリ
- 第百八十七話 寝ていたもの
- 第百八十八話 祖母と箒
- 第百八十九話 ふわり
- 第百九十話 翁面
- 第百九十一話 神主
- 第百九十二話 鏡に映る
- 第百九十三話 出てきて
- 第百九十四話 予知夢
- 第百九十五話 車椅子
- 第百九十六話 小人
- 第百九十七話 破片
- 第百九十八話 犯人は猫
- 第百九十九話 聞こえない
- 第二百話 チクチク
- 第二百一話 洗面台
- 第二百二話 七人迎え、来たる(前編)
- 第二百三話 七人迎え、来たる(後編)
- おわりに
- 厄落とし編
- 『夜行奇談』の厄落とし
- 第一話から第十四話の厄落とし
- 第十五話から第三十六話の厄落とし
- 第三十七話から第五十一話の厄落とし
- 第五十二話から第六十五話の厄落とし
- 第六十六話から第八十六話の厄落とし
- 第八十七話から第百五話の厄落とし
- 第百六話から第百二十一話の厄落とし
- 第百二十二話から第百四十話の厄落とし
- 第百四十一話から第百五十五話の厄落とし
- 第百五十六話から第百六十九話の厄落とし
- 第百七十話から第百八十九話の厄落とし
- 第百九十話から第二百三話の厄落とし
- 異聞
- 避難小屋 ―― 第三十三話・異聞
- 二人いる ―― 第三十四話・異聞
- 一人だけ ―― 第三十五話・異聞
- モウサン ―― 第四十五話・異聞
- おかしな人 ―― 第五十七話・異聞
- 遠近感 ―― 第百一話・異聞
おすすめレビュー
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★★★ Excellent!!!
無駄のない、簡潔な文章で、程よく想像の余地を残した怪談。 母猫
ホラーに癒しを求める私には理想的な怪談。幾多のショートホラーを読み漁った中でもこれ以上に読みやすい作品はない。星二つなのはさらっとしているから、もっとがっつり怖がりたいとか、+αのエッセンスを求める人には、魅力的でないであろうと考えたから。
やっぱり星もう一つ付けとく。カクヨムに来るきっかけになった作品だから。-2020年12月
追記:色々ショートホラーを読み比べて、今更ながら文章と構成の質が高い事に気づきました。2021年3月
★★★ Excellent!!!
《得体》の知れないものほど怖いものはない 夢見里 龍
《得体》が知れない、理解の及ばないものほど怖い。
それは人間の本能にじわりと浸みこむ、旧い《恐怖》です。
昔は山や森だったところがいつのまにやら都会となり、無機質な高層建築が建ちならび、都市部からは深夜であっても明かりが途絶えることはなくなりました。科学の進歩にともなって、人知では解明できないこともひとつ、またひとつと減り続けています。かつては《得体》の知れなかったものもいまでは、そのほとんどが解明され、恐れるに足りないものに変わり果てていきました。
されどまだ、影がなくなったわけではありません。
人知という光の当たらない、暗い領域は確かに存在し続けているのです。光が強くなればなるほど、その片隅で影は濃くなるものなのですから。
暮らしの影にひそんでいる《得体》の知れないもの。それらの、息遣いやうごめきを、どこか曖昧に、されどその気配まで感じ取れるほどつぶさに書き記したのが、こちらの《夜行奇談》です。
どこにでもあるような日常の影から這い寄る、輪郭のない恐怖の群。そのどれもがその怪異を体験した人物の口から語られます。由縁や経緯が綴られているものもありますが、総じて杳として《得体》は知れません。
故に怖い。
正直カクヨムでこれほど怖い話に遭遇するとは思いも寄りませんでした。夏とは言えど、怖すぎる。眠れなくなりそうなほどです。
怖いものが好きなあなた。そんなことは現実には決して起…
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★★★ Excellent!!!
寝苦しい夏の夜にぴったりな怪談集 カクヨム運営公式
夜のコンビニ、留守番中の自宅、バイト先の更衣室、駅のホーム、マンションのエレベーター……そんな日常の延長上の場所で遭遇した奇妙な体験談を集めた短編集。
体験談という形式上、怪異を目撃した語り手が死んだり殺されたりするという派手な展開はないものの、淡々と語られる恐怖体験の数々は、我々が日常で訪れる場所が舞台ということもあって後を引く怖さを残します。
また一つひとつの話が独立しているようでいて、作者の追記によれば本作は何らかの仕掛けが仕込まれているらしく、作品に隠されている「何か」の正体を探しながら読んでみるのも面白いかもしれませんが、もちろん何も考えずに普通に読んでも充分怖さを味わうことができます。
ここ最近は暑い日が続きなかなか寝苦しい日も多く、そんなときは寝る前に本作を数編読んでみると涼しい心地になれるでしょう。
もっとも今度は違う理由で眠れなくなるかもしれませんが……。
(四字熟語っぽいタイトル四選/文=柿崎 憲)